第85話 嫉妬する旦那様
俺は床に転がったまま、望美を見る。 望美は床にうつ伏せのまま、カメラを両手で構えていた。
「望美!」
「あら……見つかっちゃた」
「ひぃひい!」
俺は、なんとか姿勢を立て直し、今後はベッドに滑り込んだ。
すると、そこにはさっきまで彼女が着ていたシャツとズボンとーー下着?
まさか? 俺が横を見るとーー黒紫が。
「……それじゃ、続きしよっか? 灯磨くん」
「するか! ……って、そもそもなにもしてないわ!」
俺は、急いで部屋から飛び出すように、抜け出した。
「あ。 残念。 また今度ね? ……それで、貴方はいつまでそこにいるの?」
「あらあら。 これはこれは。 泥棒失敗狐さん。 生まれたままの姿ですね?」
「撮る? 高くつくわよ? なんてね」
「「ふふふ」」
◇◇◇
「ふふふ。 絶望に満ちた灯磨の顔、最高だわ」
鵠沼邸の部屋で、私はベッドに寝転がりながら写真を眺めていた。
ーーあの泥棒狐も、たまには役に立つわね?
灯磨は今、引きこもっている。 相当ショックだったのね。
ーーコンコン。 ドアのノックの音。
「灯磨ね……」
「なぜ、わかった?」
ドアが開くと、驚いた顔の灯磨がいた。
灯磨は、オロオロしながらも、私の隣に座った。
「……その、色々と聞きたいのだが……」
「お父様に直接聞けば?」
「ハハ。 望美の口から、その発言が出るとはな……」
灯磨はどこか、不貞腐れていた。
「俺は、養父にとって、ただの駒なんだよ。 お前と違って」
「……灯磨」
ーー可哀想な灯磨。 いい表情よ? ーーでもね。
「それは、誤解よ。 お父様は、貴方のことを心配していたわ」
「……ふん。 どうだか」
「私には、よくわかるもの」
ーーだって、灯磨と玄一郎は似た者同士だから。 互いに、自分のことを、『利用』の関係だって、思いこんでいるのよ。
「へぇ。 望美は、養父に詳しいんだ? ……妬けるな」
そういうと、灯磨はシャツのボタンを開けた。
灯磨の美しい、腹筋が露になってしまったわ!
ーーどうしましょう! 今日の私は、ああ!
こんな時に限って、下着が最悪だわ!
「……本当に妬ける。 望美は、俺のモノなのに……」
「……! 灯磨、駄目! やめて!」
「グガ……望美ぃ……」
灯磨が私の恥部を開く前に、私のチョップが直撃した。
しかし、一歩遅かった。 灯磨は一言呟いた。
「……クマ」
「……み、た、な、?」
「ヒ、ヒィ……」
ーーだって、熊パンツが好きなんだもん。




