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学校の人気者の小川望美は俺のモノ  作者: Masa(文章力あげたい)


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第78話 最悪な展開 

 食堂を出ると、廊下で千早とすれ違った。 ーーおかしい。 こんなに早く案内が終わる訳がない。


「千早。 中川の案内はどうした!」

「はい。 奥様に、案内を代わると言われまして……」

「な、なんだと?」

 

ーー血の気が引いた。 気がつくと、俺は駆け出していた。

 

 これ以上の失態を重ねたら終わりだ。 養父はもう「次はない」と言っていた。 


 何かが起きれば終わりだ。 俺は屋敷を必死に捜査を始めた。

 

 二階の宿泊室には、いない。 東棟の客間にも、いない。 どこに行った?

 

 息を切らして、階段の踊り場で足を止めた。

 

 ーー落ち着け、考えろ。 望美は、どこへ行った?

 

 思考を整えようと、窓の外に視線をやる。 気がつくと、夜になっていたんだな。


 そして見つけた。 庭の奥月明かりの下。 厩舎の脇に二つの人影があった。


 俺は息を切らしながも、家畜小屋の扉を蹴破る勢いで開けた。


ーーそして、眼前に望美を見つけた俺は叫んだ!


「望美! お前はなにをやっているんだ!」

「あ、鵠沼さん〜」

「中川? 無事か!」

「え? どうしたんですか?」


 中川が、笑顔でこちらに手を振っていた。 その腕の中に、仔山羊がいた。 足元にも二頭。 中川はしゃがみ込んで、その頭を撫でている。


「この子たちいい子なんですよ〜」

「そうでしょう、我が名家の自慢ですから!」

 

 その隣で、望美が自慢げに胸を張っていた。

 

 俺は、二人をよく見た。 泥だらけだった。

 

 中川は、スカートの裾から膝まで泥。 袖にも泥。 頬にも泥。

 

 望美に至っては、メイド服のエプロンが茶色に変色していた。 ブリムまで汚れている。


「なんのつもりだ。 俺は、寝室に案内しろと指示を出したはずだが?」

「はい。 こちら、家畜の寝室です〜」

「変な揚げ足取りや御託を言うな!」

 

 俺は叫んだ。 屋敷中に聞こえる勢いで。


「お前ら、泥だらけじゃないか! 今すぐ風呂場に行くぞ!」

 

ーーこんなところを養父に見られたら終わりだ。


 俺は二人を追い立てるようにして、風呂場へ向かった。

 

 そして、脱衣室の前で、俺は二人を押し込んだ。


「湯は張ってある。 着替えは……」

「完備してますので、お構いなく〜」

「一緒に入りましょう! 望美さん!」

「ええ! 恵さん!」


ーーなんだお前たちは、仲が良さそうだな? まあいい、これで解決だ。

 

 俺は廊下の壁に背を預け、ようやく息をついた。 数十分後、二人の声が聞こえて来た。 


「望美さん! いきなり駄目ですよ〜」

「そんなこと言わずに〜」


 コイツら、俺の気持ちも知らずに。 仲良くしているな?


「望美さ〜ん〜 頭のサングラスとりましょうよ〜」

「駄目です〜 キャ〜 旦那様〜 大変です〜 助けてください〜 ……今すぐに!」

 

ーー望美? どうした。 転んだのか?

 

 俺は、考えるより先に体が動いていた。 脱衣室の扉を開ける。

 

 するとそこにはーー タオル姿の二人がいた。


「鵠沼さん。 お風呂、気持ちよかったです〜」

「旦那様〜 そんな表情をして、これからなにをするつもりですか?」


 俺は、扉に手をかけたまま硬直した。 それから、目の前の状況を想像した。 


 俺は女の脱衣所の中にいて、目の前にはタオル一枚の女が二人ーー

 

「ギャァ!」

「鵠沼さん?」

「旦那様?」


 俺は脱衣室から飛び出した。 ーーそして、止まった。

 

 なぜなら目の前に、養父がいたからだ。 腕を組んで。 俺を、睨んでいた。


 中の様子をチラリと見て、ため息を吐いた。 ーーその表情は軽蔑だった。


「灯磨」

「……はい」

「さっきから騒がしいと思えば。 まったくお前は……もういい」


 養父は、それだけを言うと、踵を返して去っていった。 俺は、廊下に立ち尽くした。 ーー全てが終わった。 現行犯である。


 背後の扉の向こうから、二人の笑い声が聞こえてくる。

 

 膝から、力が抜けた。 俺はその場にずるずるとしゃがみ込み、両手で顔を覆った。


「鵠沼さん〜 どうしたんですか〜」

「さあ? ほっときましょう、恵さん。 ブブ」


 一人崩れる俺の耳元に、望美の笑い声がこびりついて離れなかったーー

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