第46話 待ち合わせリベンジ
日曜。 集合場所の駅前広場に着いたのは、約束の十五分前だった。
前回、中川との待ち合わせの時、俺は五分前に来たが失敗だったのだ。 彼女は十分前に来ていたという。 今回は、そのリベンジだ。
だがしかし、俺より先客がいたーー中川恵だ。
「あ! 鵠沼さん! おはようございます!」
「……おはよう」
薄紫のブラウスに、ベルトを締めた淡いスカート。 髪型は三つ編みはそのままだが、この前のTシャツ姿とは違い気合いが入っている。
「……いつからだ?」
「え、えっと……一時間くらい前から……その、遅れたら申し訳ないので……あと、緊張して家にいられなくて……」
「一時間前だと……」
ーー完敗だった。
時間ギリギリに現れたのは福田と松田だった。 福田はクリーム色のニットに紺のスカート、松田は黒のタートルネックにチェーンバッグ。 二人とも耳に小さなピアスまで光らせている。
そんな二人は、ニヤニヤしながら、こちらへやって来た。
「うわ、鵠沼君、ちゃんと来たんだ〜」
「荷物持ち、逃げなくてえらいえらい」
「……というか、私たち邪魔?」
「ごめんね! お邪魔虫で?」
ーーん? どういう意味だ?
その後、約束の時間きっかりに、最後の一人が、やって来た。
「ごめん〜 みんなお待たせ!」
「「「「…………」」」」
視線が、固まった。 ーー望美は、制服姿だった。
紺のブレザーに、赤いリボン。 チェックのスカート。 完璧に着こなされた、平日と寸分違わぬ姿である。
「……望美。 ギリギリじゃん!」
「っていうか? なんで制服?」
福田と松田が、指摘する。 望美は、ぴたりと足を止め、自分の格好を見下ろした。
「……家にある私服は全部洗濯中なの〜」
ーーなんだ? その意味不明な嘘は!
「日曜だよ!? 遊びに行くんだよ!?」
「制服だと落ち着かないじゃん!」
「そうですよ! それに汚れちゃいます。 私、今日着替えを……」
「大丈夫だって! 心配ないよ〜」
ーーああ。 俺は、屋敷での朝を思い出した。
今朝、望美はいなかった。 怜子に聞いたら、もう出かけたと言ってたなーー
まさか、近くでずっと隠れて待っていたのか?
「いや〜 うっかり、うっかり〜 ごめんね〜 行こ〜」
望美がそう言いながら、先を歩く。 他の三人は顔を見合わせて、望美の後ろをついて行く。
俺は、その後ろを歩いてついて行くのだがーー
望美の顔は見えない。 だが、アイツの表情はわかる。
お前、絶対に笑っているな!
◇◇◇
アヒャヒャヒャ! 残念だったわよね、灯磨!
貴方に、私のオシャレな私服姿なんて見せませ〜ん。




