第33話 屋敷の玄関でお出迎え
週末。 約束の時刻きっかりに、中川は屋敷の門前に現れた。
「あの……ここが鵠沼さんの家なんですか?」
「ああ」
「メイドがいるって聞いていたけど……もしかして本者のメイドさんなんですか?」
「ああ」
ーーメイドに、偽者も本者もあるのだろうか?
「すごく大きいです! ここに住んでいるんですか?」
「ああ」
門を見上げて、すでに感動している。 手にはお菓子の包みらしき紙袋。 本当に律儀なやつだ。
玄関の前まで案内すると、扉の脇に二人のメイドが並んで出迎えた。 莉央と怜子だ。
なんでお前たち、わざわざメイド服を? 俺はそんな指示出してないぞ。
ーーまさか、望美の指示なのか? アイツ、また余計なことを。
「ようこそお越しくださいました、中川様」
「は、はい! ありがとうございます!」
怜子がしとやかに一礼する。 その左隣では、莉央が元気よく手を振っている。
「中川恵ちゃんだよね? めぐっちって呼んでいい?」
「あ、はい!」
「じゃ、よろしく〜」
「ほ、本物のメイドさんだ……! 二人も……あれ?」
中川の視線が、屋敷の入り口で止まっている。
ーーそこには、サングラスとマスクとサンバイザーを装着したメイドが、直立していた。
顔面の露出面積、ほぼゼロ。 不審者と紛うその出で立ちで、彼女はしずしずと一礼した。
「……」
「……」
「……えっと。 あの、そちらの方は……」
中川は戸惑った声をあげる。 俺も戸惑っている。
「彼女は人見知りのようです」
「マジ、恥ずかしがり屋だかんね!」
「……」
不審者メイドの事情を怜子と千早が説明する。
「そうなんですか……すみません」
「……」
ーー気まずい空気が屋敷の玄関に流れる。
「中川様。 お荷物をお預かりします」
「ありがとうございます! ……あのこちら、みなさんでお召し上がりください!」
「お! めぐっち気が効くじゃん〜」
怜子が荷物を受け取り、莉央が中川の頭を撫でる。
ーーあれ? 千早はどこに行ったんだ?




