第27話 俺たちは夜空で繋がっているーー
屋敷に帰った後、俺は公務をこなしながら時を待った。
望美の部屋をノック。
「はい? 怜子かしら?」
「……俺だ」
「へぇ?」
望美の気の抜けた声が聞こえた。 彼女はベッドで寝転んでいた。
ーー服装は。 一瞬だけ見えた。 寝巻きじゃないな。 いつも窓越しに見ているカジュアルなパンツスタイルだ。
「と、灯磨! キャ!」
「大人しくしてろよ……」
俺は寝台でまごついていた望美を、シーツを剥がしてそのまま抱え上げた。 いわゆる、姫抱きというやつだ。
「……あ。 夢みたい……」
暴れるかと思ったが、望美は俺を掴んだままウトウトしていた。
望美もテストで疲れていたんだなーー
そのまま玄関を出て住宅街へ、裏手の丘へ続く小道を歩く。 夜は暖かく、草の匂いがした。
「……あの、灯磨。 私、重くないですか」
「軽すぎる。 もっと食え」
「…………」
腕の中の望美が、急に大人しくなった。 見下ろすと、耳が赤い。 暗がりでも分かるほどに。
丘の上の露台に着いた。 古い石造りの手すりに蔦が絡み、脇のランタンが小さく揺れている。
「ほら。 顔を上げろ」
望美が、恐る恐る視線を上げた。
ーー満天の星だった。
「綺麗……」
望美の口から、素の声が漏れた。 澄ました仮面も、メイドの口調も忘れた、ただの幼馴染の声だ。
「計画書に、夜の項目がなかっただろう」
「え、ええ」
俺は手すりに彼女を下ろさず、抱えたまま言った。
「これが俺の計画だ」
「素敵な計画です……」
望美はまた眠ってしまった。 星明かりの下、俺の腕の中で、なんの仮面もなく。
ーーああ、そうだ。 この顔が見たかった。
昨日、テラス席の向こうでガン見してきた不審者と同一人物とは、到底思えんな。
俺と望美は一緒の空を見上げた。 きっと、俺たちは繋がっている。
ーーだが、明日教室で俺は驚愕することになるのだった。
◇◇◇
鵠沼さんーー灯磨のお陰で、テストが快調だった! きっと良い点数が取れている。
「わあ! 綺麗な空!」
ーーところで、デート中にずっと後ろをつけてたあの人は誰だったのかなぁ?
◇◇◇
夜空と私の自撮り写真を撮る。 そして灯磨の写真と合成して、ai画像で生成っと。
「灯磨くん❤️」
これで灯磨くんとツーショット! 完璧だわ。
「ふふふ。 待っててね、灯磨くん! ……もうすぐだから」




