第26話 勝利のその後で ーー望美視点
「上手くいったわね。 灯磨のガッカリした顔そそるわ!」
私はベッドに寝転がりながら、今日の成功を確信していた。
いつものラフな部屋着に着替えてベッドで休憩。
枕を抱きしめると、今日の記憶がじんわりと蘇ってくる。
計画は完璧だった。 美術館の企画展は的中。 昼食の店も文句なし。 「……悪くない」を頂いた。 あれは灯磨基準で言えば満点回答である。
それにーーメイド服で現れた私を見て、灯磨が一瞬、残念そうな表情を浮かべたのがとても快感だった。
私の私服姿を期待していたわね? 残念でした! 灯磨の前では、期待させるような隙は一切見せません〜
ーーまあ、夕方の散歩でちょっとだけミスしたけど。
海岸で夕焼けを見た時、つい顔がにやけてしまったが、灯磨にバレているだろうか? あの時は夕日が眩しかった。
ーーたしか灯磨は夕日が苦手だったはず。 でも、灯磨の前であんな笑顔を見せるなんて、失態だわ。
思い出しては、恥ずかしくて、枕に顔を埋めて悶える。
でも、その度に幸福感を感じてしまう。 幸せ! ああ、寝巻きに着替えずに、このまま眠ってしまおう。 今日はもう、何もない。
ーー本当は小説を書かないといけないが、無理! おやすみ!
コン、コン。 ノックの音がした。
「……どうぞ」
怜子だと思った私は、枕を抱えたまま許可を出した。
「……望美、出かけるぞ」
「へ! と、灯磨!?」
私は跳ね起きた。 シーツを慌ててかける。 服は見せないわよ!
な、なんで!? 灯磨がここにやってきたの?
「な、なぜ……」
「……さあ、行くぞ」
ーーそんな! どうしよう? 今から! 無理!
「き、着替えます! じゅ、準備しますので、五分……いえ、十五分ください!」
「……その格好で構わん」
「よくない!」
「えい! つべこべ言うな!」
灯磨は私の制止も聞かずに、シーツを剥がして、私をお姫様抱っこで抱えこんだ。 私はあまりの事態に固まった。
ーー私の私服姿が再び灯磨に晒されてしまったわ。
「……抵抗しないのか?」
「へ? ……あ、もう外にいる!」
そのまま玄関を通り過ぎて、住宅街を歩いていた。 通行人が私たちを見て、ヒソヒソ話している。
ーーちょっと! まさかこのまま? 私、裸足なんだけど!
そんな私を無視して、灯磨は道を歩くのだった。
顔が真っ赤になっているのが、自分でもよくわかる。




