第22話 浮気調査 ーー望美視点
土曜日の朝。 私は自室の姿見の前で、最終確認をしていた。
「……中川さん。 一体どう言うつもりかしら? 私だけの灯磨をデートに誘うなんて……」
私は彼女の行為の意図を探るべく出かけようとしたが、今日は今までの勉強会とは違うデートーー
このままの格好では、さすがに中川さんにはバレてしまうわね? しっかり変装をするべきだわ。
メイド服の上に、変装アイテムを装着。 これで、どこからどう見ても、ただの浮かれた旅行者だわ。
ーーなんでメイド服なのかって? 私のポリシーよ!
でも絶対に、灯磨は気づくはず。 私がずっと側で見張っていることをね。
感じて、灯磨。 私の存在を常に、私はずっといるのよ?
私はスーツケースを引いて、意気揚々と部屋を出た。
玄関前で談笑する声が聞こえる。 莉央と、怜子と、千早の三人が、玄関先に集まっていた。
ガラガラというスーツケースの車輪の音で、三人が一斉にこちらを振り返った。
ーー沈黙が、玄関ホールに落ちる。 最初に吹き出したのは、莉央だった。
「……ぶっ。あはははは! な、なにその格好、マジウケる!」
お腹を抱えて、笑っている。 まったく、失礼しちゃうわね。
「お嬢様? ……その格好は?」
怜子が、困惑を上品な微笑みで包みながら首を傾げた。
「奥様? 旅行に行くんですか?」
千早が目をきらきらさせて、ぴょんと手を挙げた。
「ふふ。 違うわよ、浮気調査よ……」
「浮気調査? お母さん! 浮気ってなに?」
「……え? 千早。 それは……」
「千早ちゃん! 旦那様が奥様以外の人とチョメ……」
「莉央さん。 うちの子に変なことを教えないでください」
怜子がすっと扉を開け、千早が「いってらっしゃーい! 浮気調査頑張ってね!」と無邪気に手を振る。
そして莉央は、私の方を見てケラケラ笑っていた。




