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浮気物語~俺と10人の彼女たち~  作者: さんぶうい
卜返愛はギャルである
11/15

なんかムカつく

◯7日目(水曜日)


 休み時間、周りの生徒たちの話し声が聞こえてくる。


「卜返って頼まれれば誰とでもヤるビッチらしいよ」


「えそれってまじだったのー?」


「うん、田辺くんが言ってた」


 愛の話題だ。彼女はクラスの中心グループの女子、よく話題にはされる、が。


 最近この手の悪評をよく聞くようになった。


 ……なんだかイラッとする。


 別に自分が悪口を言われたわけじゃないのに。


 愛はトイレか何かに行っているのだろうか、教室にはいなかった。


「それマジだぜ」


 田辺が愛の悪口を言っていた女子グループに絡みに行く。


「告られれば誰とでも付き合うし、中学時代からパパ活とかもしてたらしいぜ」


「え、まじで」


「めっちゃありえるー」


 キャハハと笑い声が聞こえる。


 自分のことを言われたわけじゃない。なのに、指先に力が入った。


 美人で男子からモテる愛は一部の女子からは嫌われている。


 田辺はそれを知っているから、女子経由で愛の悪評を広めているのだろう。

 

 加えてあの見た目だ。派手な金髪に、男の目を引く体つき。下世話な噂ほど、周囲は勝手にそれっぽく信じてしまう。


 いや……そうか、愛が1人で弁当を食べていた理由って……


 ガタッと椅子から立ち上がる。


「そんなことあるわけないだろ」


 気がつくと田辺と女子グループの会話に割り込んでいた。


「……は?なんだよ浮田急に」


 田辺たちは突然会話に乱入してきた俺に困惑していた。しかし俺はそれを無視して続ける。


「愛ちゃんは……そんな子じゃない」


 手に汗が流れる。


 ……クソ、何してんだ俺は


 でも、愛が悪口を言われているのをどうしても見過ごせなかった。


 これ以上、彼女を孤立させたくなかった。


「あー、ごめんなごめんな、お前愛のこと好きだもんなあ?こんなこと聞かされてショックだったよなあ」


 田辺は俺の気持ちを見透かすようにヘラヘラした様子で言う。


 女子たちは「えーまじー?」「きゃー」と盛り上がっている。


「そんな話じゃない。愛ちゃんはそんな子じゃないってこと言ってるんだよ」


 俺は手を握る力を強める。


「確かに愛ちゃんは少し当たりがキツいところはある。でも本当は純粋で優しい子なんだよ。そんな……根拠もないのにそんなこと言うなよ。」


「……は?何マジになってんの?」


 田辺も真っ向から反論を続ける俺に徐々にイラつきだした。


「愛と同じグループの俺が言ってんだよ、これ以上ない根拠だろ?」


「いや、そんなのは嘘だ」


「あ?」


 田辺がギロリとこちらを睨む。


 教室の空気が空気がピンと張り詰めた、教室中の注目がこちらに集まっている。


 怖い、怖いが……俺は田辺の目を真っ直ぐ見て言う。


「……それにこっちだって、ちゃんと根拠があって言ってるんだ」


 田辺は意外そうな顔をし、ニヤつきだした。


「へぇー、なんだよその根拠って」


 俺はクラス中に聞こえるように、声量をワンランク上げた。


「……俺はこの前愛ちゃんに告ってフラれた、だから彼女は誰とでも付き合うビッチなんかじゃない」


 一瞬クラスがシーンと静まり返る。


 田辺と女子グループもぽかーんとしていた。


 だが次の瞬間、どっと笑いが起きた。


「まじぃ?告った告白?」「カミングアウトきたー」「ウケるー」「キャハハ、浮田どんまーい」「かあっこいいー」


 これでいい


 これで少しでも愛の悪評が薄まるなら。


 俺の顔はみるみる赤くなっていった。


「……それだけ」


 そう言うと自分の席に戻って行った。


 田辺や女子グループの方からはゲラゲラと笑い声が聞こえてきた。



 教室の外。中の喧騒を横目に、少女は壁にもたれかかりぽつりと呟く


「……バカ」


 頬は赤く染まっていた。

 面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価をしていただけると嬉しいです……!!!


 作者にとって非常にモチベーションになります!!

 何卒、宜しくお願いします!


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