表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/44

第40話

後世の歴史家は、この年を「暗転の年」と記している。 大地を救うはずだった食糧が、不気味な黒い斑点と共にドロドロとした粘土へと姿を変えたのと、時を同じくして。


隣国カカ王国の地方都市にて、一人の商人が高熱に倒れた。 その遺体は、脇の下や股の付け根が異様に腫れ上がり、全身に呪いのような黒い痣がびっしりと広がっていた。未知の病は、目に見えぬ風に乗り、街道を伝い、瞬く間に大陸全土を飲み込んでいった。


この死神の前に、王も平民もなかった。 金持ちも貧民も、積み上げた富や祈りも、無慈悲な病原菌の前では等しく無価値だった。 治すための薬はなく、人々はただ、隣人が、そして自分自身が黒く変色して絶命するのを待つほかなかった。


物流は途絶え、国境は閉ざされた。 大陸を覆っていた戦火すら、死病への恐怖によって急激に鎮火していく。 人の往来は死を運ぶ行為へと変わり、賑わっていた都市も、今はただ腐敗臭が漂う沈黙の廃墟へと成り果てた。


世界は、真の底なし沼へと突き落とされる。 逃げ場のない地獄の幕が、今、静かに上がった。


第2章 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ