悪夢
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芹沢を討った翌朝、隊士たちに「芹沢鴨と平山五郎が不逞浪士に押し入られ、殺害された」との通達が下された。
その知らせに、隊士たちは動揺を隠せず、さまざまな噂が飛び交った。
ーー土方たちが暗殺したのではないか
もちろん、そういう声もあった。
それでも、表向きには大きな混乱もなく、芹沢と平山の葬儀は静かに執り行われた。
かなたはその後も、淡々といつも通り雑用をこなしていたが、その様子はどこか元気がないように見えた。
あの時の芹沢を討った感触は、今も鮮明に残っている。
幹部の何人かには、自分が芹沢を討ったことが伝えられているのだろう。みな一様に気を遣って、優しく接してくれる。
ありがたい...。だが、今は何も考えたくない。ただ黙々と手を動かし、心を空っぽにすることだけが、唯一の救いだった。
それから、どれくらい時が過ぎただろうか。
かなたはあれから眠る度に芹沢の夢を見るようになった。夢の中の芹沢は、何度刺しても、何度刃を突き立てても、死ななかった。
だが、本当に怖かったのは夢の中の自分だった。
何度刺しても死なない芹沢を、肉が潰れ、血が飛び散ろうとも、ただひたすら無心で刺し続けていた。
(早く...殺さないとーーー)
目が覚めると、決まって息は荒く、体は汗でびっしょりと濡れていた。季節はもう秋だというのに、夏の夜のような熱にうなされる。
まるで芹沢が、自分に呪いをかけているかのようだった。
それでも朝は来る。
日々の生活が、いつも通りかなたを待っている。
血の匂いが染みついた記憶とともに。




