邏卒
今回短いですm(_ _)m
それから、新選組は年末をもって解散することになった。
もちろん、幕府を抜けた時よりも不満の声は多かった。
しかし、近藤が胸の内を明かすと、隊士たちは静かに耳を傾け、かなたのように涙を流す者もいた。
できる限り隊士たちの意思を尊重するため、このまま京の町を守りたい者たちは、西郷の計らいで警備隊へ加わることになった。
政府から派遣された者たちへ仕事を引き継ぎ、剣の稽古をつける。
それが、新選組に与えられた最後の務めだった。
「警備隊の名前は邏卒と言うみたいですよ」
ある日、かなたは稽古の合間に休憩していた鈴木を見つけると、唐突にそんな話を切り出した。
「邏卒か。まあまあ粋な名だな」
鈴木はかなたの突飛な言動にも慣れたもので、特に気にした様子もなく相槌を打つ。
「鈴木さんは邏卒には入らないんですね」
「自由気ままに旅にでも出ようと思ってな。だから他の奴らより早くここを出るつもりだ」
幹部隊士は平隊士より引き継ぎも多く、年末ぎりぎりまで屯所に残る予定だが、この口ぶりからすると鈴木はそれより前に出立するつもりなのだろう。
「なんだか寂しくなりますねぇ」
とうに覚悟はできているはずなのに。
そう珍しく弱音のような言葉を漏らすかなたに、鈴木はちらりと視線を向けた。
「お前は、何するんだ?」
「んー、そうですねぇ……………所帯を持つ、とか?」
そう答えると、鈴木は鼻で笑いながら手をひらひらと振る。
「お前にはまだ早い。やめとけ」
そういえば鈴木には、自分が女だということを明かしていなかった。
きっと今も、まだ子供だと思っているのだろう。
言ったところで信じそうにもないので、かなたは何も言わずにそのまま自室へと足を動かした。
「なんだ? 拗ねたか?」
眉をひそめて首を傾げる鈴木は、その生涯でかなたが女だということを知ることはなかった。




