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新選組トリップ奇譚  作者: 柊 唯
第十二章〜それぞれの道〜

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永遠は続かない

 明治元年十月



 戊辰戦争が終わり、しばらくたった頃。

 ようやく新政府の確立が安定し、元号が明治へと変わった。

 新選組も年始程の忙しさはすっかりなくなり、元号や政策が変わった事への対応以外、特に大きな出来事もなく過ごしていた。


 そんなある日、かなたの元へ西郷隆盛から手紙が来た。

 手紙の内容は、かなたが知っている歴史よりもかなり早い出来事が記されていた。




「それで、急に呼び出してどうしたんだ?」


 土方は真剣な顔のかなたを見ると、隣にいる近藤や山南にちらりと目線を向ける。


「それが……」


 とても言いにくいことなのだろうか、かなたの顔は自分たちを呼び出した時よりも青ざめていた。

 山南はそれを察したのか、笑顔を向ける。


「かなたさん。ゆっくりでいいですから、聞かせてください」


「はい…」


 かなたは深呼吸をすると、整理するように話し始めた。


「実は、西郷さんから全国に警備隊を作ることになったと、連絡が来ました。私が知っている時期よりも早めだったので、まだ何も対策を練れてなくて…すみません……」


 かなたが歴史を変えてしまったせいで、本来の時間よりも進みが早くなっていること、遅くなっていることがあるのは分かっていた。

 けれど、彼女も能力者ではないのでいつその出来事が来るかなんてものは分からない。


 山南は腕を組むと、思い出すかのように視線を上に向けた。


「西郷さんと話し合いをした時に言っていたことですね」


「はい…あの時、協力するとは言いましたが、警備隊が完全に出来上がったあと、新選組はどうなるのでしょうか…」


 無くなるかもしれない。

 そう思ったところで、かなたの不安を汲み取ったのか、土方が口を開いた。


「最悪、解散…だな」


「そんな…!」


 場は一瞬にして静寂に包まれる。

 自分が救いたくて救ったのに、逆に新選組の寿命を縮めてしまっていたようだった。


 かなたが拳を握りしめている隣で、土方は考えるように俯いたあと、何かを決意したように膝を叩いた。


「俺は、近藤さんの意見に従うぜ」


「え?」


 思わぬ言葉に近藤は目を見開く。

 今まで最終的な決定権は自分にあったが、いつも策を考えてくれるのはかなたや土方、山南だったからだ。


 土方は真っ直ぐに近藤を見つめる。

 その眼差しは、新選組を変えたかなたの強い眼差しと重なって見えた。


「幕府の傘下を抜けた時だって、近藤さんは俺の意見を受け止めてくれた。だから、次は俺が近藤さんの意見を受け止める番だと思ってる」


 土方の言葉に、山南も賛同するように頷く。


「私も、土方くんの意見に同意します」


 しかし、かなたは次々と進む話に狼狽えていた。


「ま、まずは警備隊の引継ぎから考えましょうよ! 新選組のことを考えるのはそれからでも遅くないですし…」


 けれど、その言葉に土方は眉をひそめる。


「けどよ――」


 そう言い切る前に、近藤が土方の言葉を遮った。


「…少し考えさせてくれないか」


 ここで答えを先延ばしにしても、いつかは決めなければならない。

 それは近藤も分かっているのだろう。


「ああ、もちろんだ」


「大切なことを決めさせてしまって、申し訳ないです。何かあればいつでも相談に乗りますので」


 そう言って、土方と山南は部屋を出ていったのだった。

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