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新選組トリップ奇譚  作者: 柊 唯
第十二章〜それぞれの道〜

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イメチェン!

 ばんっ、と大広間の戸を開けると、そこには永倉・原田・藤堂のいつもの御三家と、沖田が他愛もなく語り合っていた。……いや、"それらしき人物が居る"と言うべきだろうか。


「ああ! 皆さん! その髪!」


 驚くかなたに、四人はにやっと笑いながら近寄ってくる。


「どうだかなた、俺のこの髪型は? これなら島原でも女にモテて仕方がないと思うだろ?」


 永倉がかなたの肩をぽんっと叩けば、その隣では藤堂と原田が腕を組んで必死に頷いていた。


「かなたさん! 僕はどうです? 似合ってますか?」


 そんな三人を無視して、沖田がかなたの前へと進み出る。


「皆さん、凄く似合ってますよ!!」


 その言葉に永倉は目頭を押さえ、天を仰いだ。


「かなたにかっこいいと言われる日が来るとはな……」


 「かっこいい」とは言っていないのだが、涙ぐむ永倉たちに水を差したくはないので、ここは黙っておこう。

 あはは、と少し困ったように笑っていると、ふと後ろに気配を感じる。

 すぐに振り向くと、そこには鬼の形相で息を切らした土方が立っていた。


「ほお、俺は似合ってないってか?」


 ゆっくり近づいてくる土方に、かなただけでなく四人も思わずごくりと唾を飲む。


「あ、いや……土方さん……その…………」


 美形が近づくにつれ、かなたの心臓は限界を迎え始め、頭の中も真っ白になっていく。

 何か言わねばと思っていると、痺れを切らしたのか、土方は舌打ちをして部屋を出ていってしまった。


「……お前、何したんだ?」


 額の汗を拭いながら聞いてくる原田に、沖田はハッとしたように「あーっ!」と声をあげる。


「もしかして、髪を切った土方さんの格好が良すぎて、何も言えなかったんじゃ?」


「うっ……」


 図星すぎて何も言えずに顔を真っ赤にするかなたを見て、藤堂がコソコソと沖田に耳打ちする。それを受けた沖田は、かなたの肩をぽんと叩いた。


「かなたさん、僕が付いて行ってあげますから、一緒に謝りに行きましょう?」


「え、でも……」


「そうだぞ、土方さんは根に持つタイプだからな。さっさと謝って、髪型似合ってますぅって言った方が良いぞ」


 まるでかなたの真似をしているかのように、目をきゅぴるんと輝かせる永倉に、かなたは小さく溜息を吐くのだった。

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