イメチェン!
ばんっ、と大広間の戸を開けると、そこには永倉・原田・藤堂のいつもの御三家と、沖田が他愛もなく語り合っていた。……いや、"それらしき人物が居る"と言うべきだろうか。
「ああ! 皆さん! その髪!」
驚くかなたに、四人はにやっと笑いながら近寄ってくる。
「どうだかなた、俺のこの髪型は? これなら島原でも女にモテて仕方がないと思うだろ?」
永倉がかなたの肩をぽんっと叩けば、その隣では藤堂と原田が腕を組んで必死に頷いていた。
「かなたさん! 僕はどうです? 似合ってますか?」
そんな三人を無視して、沖田がかなたの前へと進み出る。
「皆さん、凄く似合ってますよ!!」
その言葉に永倉は目頭を押さえ、天を仰いだ。
「かなたにかっこいいと言われる日が来るとはな……」
「かっこいい」とは言っていないのだが、涙ぐむ永倉たちに水を差したくはないので、ここは黙っておこう。
あはは、と少し困ったように笑っていると、ふと後ろに気配を感じる。
すぐに振り向くと、そこには鬼の形相で息を切らした土方が立っていた。
「ほお、俺は似合ってないってか?」
ゆっくり近づいてくる土方に、かなただけでなく四人も思わずごくりと唾を飲む。
「あ、いや……土方さん……その…………」
美形が近づくにつれ、かなたの心臓は限界を迎え始め、頭の中も真っ白になっていく。
何か言わねばと思っていると、痺れを切らしたのか、土方は舌打ちをして部屋を出ていってしまった。
「……お前、何したんだ?」
額の汗を拭いながら聞いてくる原田に、沖田はハッとしたように「あーっ!」と声をあげる。
「もしかして、髪を切った土方さんの格好が良すぎて、何も言えなかったんじゃ?」
「うっ……」
図星すぎて何も言えずに顔を真っ赤にするかなたを見て、藤堂がコソコソと沖田に耳打ちする。それを受けた沖田は、かなたの肩をぽんと叩いた。
「かなたさん、僕が付いて行ってあげますから、一緒に謝りに行きましょう?」
「え、でも……」
「そうだぞ、土方さんは根に持つタイプだからな。さっさと謝って、髪型似合ってますぅって言った方が良いぞ」
まるでかなたの真似をしているかのように、目をきゅぴるんと輝かせる永倉に、かなたは小さく溜息を吐くのだった。




