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ちゃん付で呼んで


通されたのは2階にある応接間だった。

中に入ると既に上座に座っている人とその後ろに立っている人がいる。


(え、女の子?)


座っているのは金色の髪に同じく金色の瞳を持った10歳くらいの女の子だった。小さな女の子らしいリボンをあしらった可愛らしいワンピースを着ている。

後ろに立っているのは黒髪、黒い瞳の40代くらいの男性で私たちが入ると女の子の対面の席へと促してくれたので2人並んで座った。


私たちが座ると男の人は私達と女の子の横、つまり間の席に座ると体をコチラに少し向け自己紹介を始めた。


「初めまして。俺はここの副ギルド長のジャックだ。そしてコチラが」


「ギルド長のシャルロッテだよ、よろしくね。おねーちゃん」


「えっ!」


こんな小さな子がギルド長?!どう見ても子供にしか見えないし戦える様にも見えない。私が困惑している中隣に座っているクロードはものすごく嫌そうな顔をしていた。


「うっわ。聞いてはいたけどキッツイわぁ。めっちゃ年増‥あっぶねぇっ。」


シャルロッテさん?はニコニコ笑顔をキープしながらも何処から取り出したのかピンクのリボンをナイフの様にクロード投げつけた。

いや、正確には見えてないがクロードの脇腹があった辺りにリボンが突き刺さっているのを見た。状況的にシャルロッテさんの仕業なのだろうが全く動いた様には見えなかったのでびっくりする。


「酷いこと言うお兄ちゃんね。私悲しい。」


しょんぼりと呟くシャルロッテちゃんに思わず同情してしまう。こんな小さい子が大人なはずないよね。しかし私の意識はクロードの言葉で引き戻された。


「里香、騙されちゃダメだよ。余裕でガレオの2倍は生きてる。」


「えっ?」


ガレオ?ガレオも若く見えるけど歳は知らないし。でも大きな子供いるし‥え、何歳?


「乙女の年齢の話なんて無粋だね。」


さっきまでの可愛らしい笑顔を消して無表情で言い放つシャルロッテさんに私の頭は混乱する一方だった。


「さて、お嬢さん。冗談はここまでにしておこう。混乱させて悪かったね。私の名前はシャルロッテ。ここのギルド長をしているよ。どうぞよろしく。」


「あ、はい。里香と申します。よろしくお願いします‥」


ぎこちなく返事を返す私にシャルロッテさんはニコッと笑顔を見せてくれた。その笑顔は子供のはずなのに大人の余裕を感じさせるものだった。


「こんな姿だが立派な大人だよ。でも呼ぶ時はシャルロッテちゃんと。敬語もやめておくれ。」


「え、あ、はい。…シャルロッテちゃん。」


そういうと今度はニコッと子供らしい可愛らしい笑顔を見せた。頭が混乱する‥


「なにがシャルロッテちゃんだよ。男のくせに」


クロードが言い終わる前に大量のリボンがクロードに襲い掛かるがクロードは身軽に避けながら衝撃の言葉を口にする。


(シャルロッテくん?えっ?)


「男の人なんですか、シャルロッテちゃん。」


「そうだよ、おねーちゃん。君のお供は口が軽いねぇ。シャルロッテ困っちゃう。」


さっきの口調はどこにいったのか。子供の様な口調で困ったなーといいながらシュンシュンとリボンを投げつけていくシャルロッテちゃん。

それを止めてくれたのはジャックさんだった。


「ほらっ、いい加減にしろっ!話が進まねぇじゃねぇか!」


ジャックさんはシャルロッテちゃんの口にテーブルに置いてあったお菓子を突っ込む。もぐもぐ咀嚼するシャルロッテちゃんは攻撃をやめた。

攻撃が止んだのでクロードも席に戻ってきた。


「ったく。年取ると短気…むぐ。」


余計な事をなおも言いそうなクロードの口に私もお菓子を放り込んだ。ちょっと黙ってて。


「すまねぇな、話戻すぞ。俺達冒険者組合は来るもの拒まずが原則だ、歓迎するぜ。ただこちらの条件を飲んでもらえるならそれなりに優遇しよう。」


その条件とは高難易度依頼の受注。

依頼の難易度の高さから受けてがおらず困っている依頼がある。それをお願いしたいとの事だ。


「主にクロードへのお願いだがな。受けてくれるならZのランクをやる、どうだ?」


「へぇ‥本当に存在したんだ。そんなに困ってるんだね。でもそんな危険な依頼里香を連れてけないからヤダ。」


「依頼を遂行中はお嬢ちゃんの身の安全はこちらで保証する、それでもか?」


「それでも。というか高難易度依頼の消化もできないくせに里香を守るってどの口が言ってるの?」


「なっ、もとあと言えば誰のせいだと!」


「ちょっとクロード!」


2人の間に険悪な空気が漂う。なんで喧嘩を売るのよ!

どうしようかとオロオロしているとシャルロッテちゃんの声が割って入った。


「クロードのいうことも一理あるね。ではその間私がこの子を預かるよ。」


「……へぇ、直々に?でも俺にメリットあるかな?」


「ふふ、可愛い子だね。回りくどい事までして。本当に警戒すべきはまだ残っていると私は思っているのだけど違ったかな?」


「……」


「彼女を守りたいならZランクは持っておきなさい。それに我々も全力で守ると約束しよう。例え全面戦争になろうともね。」


シャルロッテちゃんの言葉に思わずビクッと肩を震わせてしまう。

全面戦争って…なんでそんな物騒な話になっているんだろう?


しかしクロードはシャルロッテちゃんの言葉に驚くわけでもなく、少し考えたあとため息をついた。


「…分かったよ。ただし長期は無理だから。俺そこまで長く里香の側離れたくないし。」


クロードの了承の言葉にシャルロッテちゃんは可愛らしい満面の笑みを浮かべた。


2人の会話の内容がいまいち分からずついていけない。

盛大に派手なマークを浮かべる私にシャルロッテちゃんは困ったような顔をする。


「クロード。過保護なのも度が過ぎると信頼を失うよ。」


「分かってるよ。里香、帰ったら色々説明するから今は気にしないで。」


「…わかった。」


「さて、それじゃ後はジャックから説明受けてね〜。またね、お姉ちゃん達。」


シャルロッテちゃんは子供らしく手を振ると部屋を出ていった。なかなかキャラが濃くて頭が痛い。

思わず遠い目で見送ってしまった。




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