冒険者組合
「ここが冒険者組合かぁ。」
中に入るとたくさんの人がいてビックリする。ガヤガヤと賑わっていて横に並んだカウンターにはお姉さんやお兄さん達が忙しそうに来た人の対応をしている。
その中でも比較的空いてそうなカウンターに並び順番を待った。
ただなんだか違和感を感じる。
(なんか、チラチラ見られている様な)
でももしそうならクロードが気付かないはずないし。
私はキョロキョロと周りを見渡す。特に変わった様子はない。
私の様子を見て不思議そうにクロードが話しかけてくる。
「何か気になる事でもあった?」
「いや、なんか視線を感じた様な気がして。気のせいだよね。」
私の言葉をクロードはニコニコしてきいている。なんだか見覚えある顔だなぁ。
「そっか。それは気になるね。でも気のせいだと思うよ。そんな不躾な奴ここにはいないよ。ね?」
クロードは私の頭を撫でながら諭す様にそういった。
その瞬間一瞬シーンと静まり返った。
「あれ?」
振り返ってみるが気のせいだったのか?またガヤガヤと賑やかにみんな喋っている。
(たまたま‥よね?)
クロードの方を見ると相変わらずニコニコしている。気づけば順番が回ってきたので受付のお姉さんに声をかけた。ウサギの耳がぴょこぴょこしていて可愛らしいお姉さんだ。
「あの、すみません。」
「ひゃ、は、はいっ!」
普通に話しかけたつもりなのだがものすごくびっくりされてしまった。噛み噛みな上に顔は真っ青で今にも倒れそうだ。
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫ですっ。ご、ご用件お伺いします。」
そんな様子なのにクロードは特に気にした様子もなくただ黙って私の後ろに立っていた。
「今日ギルド長とお約束している里香と申します。お取次をお願いできますか?」
「か、かしこまりました!」
返事もそこそこにお姉さんは凄いスピードで階段を駆け上がって行ってしまった。私はそれをポカーンと見つめることしか出来なかった。
「ねぇ、なんか変だね。」
「そうかな?仕事熱心なだけじゃない?」
そんなわけあるか。そんな気持ちを込めてクロードを睨むがやはり全然気にした様子はなくニコニコ笑っているだけ。
「そんな見つめないでよ、可愛いなぁ。」
その時ドン、ガシャンと立て続けに大きな音が響いた。びっくりしてクロードの後ろを覗いてみるとテーブルについて雑談していた人は椅子から転げ落ち、受付で何やら書いていた人はインクのピンを床に落としてしまったようで割れてしまっている。
「え?一体何があったの?」
「…さぁ?ほら、受付の人戻ってきたよ。」
階段の方を見るとまたもや凄いスピードで受付のお姉さんがこちらに向かってきている所だった。
「お、お待たせ…しましたっ!ご案内します。」
ゼェゼェ息を切らしているお姉さんに若干引きつつ私達は後へと続いた。
絶対何かあると思うんだけどなんだったんだろう?
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里香とクロードが上に上がった後、その場は騒然としていた。
その場にいた者たちが思い思いに口を開く。
「なんだアイツ?すげぇ殺気だったわ」
「クロードだよ!同族殺しの」
「アイツが?マジか…」
「なんでこんな所にいるんだよ!アイツに俺の親殺されたんだぞ!」
所かしこから驚きの声や怒りの声が上がる。
「大きい声出すな!聞こえたらどうすんだ!」
「人間と連むのは辞めたんじゃなかったか?なんで人間連れてんだ?」
「あの女何者だよ。あの殺気をモノともしないとかもしかしてものすごく強いとか?」
「死にたくない……死にたいない……」
「連れの女に手出したら殺されそう…」
場が混乱を極める中、最後に1人の男がポツリとつぶやいた言葉にその場にいたものは確かにと同意した。
そしてその場にいたもの達の中で暗黙の了解として里香に手を出してはならないとなった事を里香は知る由もなかった。
クロードは周りが余計な事を言わない様に周りに殺気を飛ばして牽制してましたが里香は鈍いのでそういうの気付いてないだけです。




