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名前なんだっけ?

視点が戻ります


「ん‥‥?」


頭がぼーっとする。何が起きたんだっけ…


(そうだ…気持ちよくお酒を飲んでいたのになんか急に襲われて…)


身体を起こして辺りを見渡すとどこかの部屋のベットに寝かされていた。

ベットの横の椅子に座っている人物が視界に入るとその見覚えのある顔に思わず声が出る。


「げ‥‥」


「私の顔を見てそんな事を言ったのは君が初めてだよ。久しぶりだね。」


そこには初めてここにきた時に会ったキラキラ王子がいた。その表情は困った様に微笑んでいる。


「クロードのせいで手が出せなかったが、彼のおかげで君を取り戻せてよかったよ。」


(彼?)


私を攫ってきた男の事だろうか。黒い髪に黒い瞳の‥なんだろう。どこかで見たことある気がする‥


「怪我はないかい?急に攫われて怖かっただろう。」


今度は心配そうな顔で私の顔を覗き込んでいる。完璧なくらい表情を変えるのが上手い。これならどう見ても私を心配してくれているいい人に見える。


(…こいつクロードと同じタイプだな)


だが目が心配している様には見えないのだ。こいつも腹黒タイプか‥


王子はあくまで攫われた私を助けたスタンスでいくらしい。

それに乗ってかっていればひどい事はしないだろうけどそれじゃ話が進まない。私が媒体をつけていないから油断しているのかもしれないが幸いウルリはポケットで大人しくしているので魔法は使える。話を聞き出すほうにシフトした方が良さそうだ。


(このタイプの人と腹の探り合いは分が悪いな)


ここは馬鹿正直にぶつかってみるか‥…決してそれしか出来ないわけではないが。決してね!


「…私は私の意思で出て行ったの。誘拐したのはそっちじゃない。」


「おや、なにか吹き込まれてしまったのかな?」


「私は自分の目で見て判断してるわ。その芝居がかった喋りやめて貴方も素で話したら?」


私の態度を見て向けられる伺う様な視線を真っ正面から受け止める。数秒後、先に目を逸らしたのはあちらだった。


「…ふぅ。わかった。」


すっと顔から笑顔が消える。うん、こっちの方が違和感ないわ。


「それで、何か用?」


「なかなか肝が座ってるな。聖女が勇者に攫われたんだ、何かあると思うのが普通だろう。何を企んでる?」


「何も企んでなんかいないわよ。信用ならないと思ったから逃げただけ。大人しくしてるから帰してよ。」


私の言葉にふんっと鼻で笑う。キラキラ王子の要素皆無だな。いつも猫かぶって疲れそう。


「正直いって魅了も効かない君が居ても扱いきれないし本当に何もしないなら構わないんだがな、判別できないから諦めろ。それに君に用がある奴が他にもいるから大人しく待ってろ。」


「私に?誰?」


「あとは本人に聞くといい。なぜ急にそんなことを言い出したのか私にだってわからないんだから。」


そう言うと目頭を揉む仕草をする。なんだか疲れてる?


「なんか疲れてるね?」


「君には関係ないだろ」


「まぁ、関係はないんだけどどうも帰してもらえないみたいだし暇だから話し相手くらいにはなってよ。」


「はぁ‥」


「心配してあげたんだから溜息じゃなくて感謝の言葉が欲しいところね。」


私の言葉に王子は更にため息をこぼす。なんか失礼な奴だな。


「君変な子だってよく言われるだろ?」


「…言われた事ないなぁ。」


「言われるんだな。君と違って私は忙しいんだ、疲れもするさ。」


言葉は厳しいがさっきより少し柔らかい表情をしている。なんだか思ったより話が通じる人なのかもしれない。


「ねぇ、なんであんなに沢山の聖女を召喚したの?」


ずっと疑問には思っていた事ではあった。人数が多すぎる。しかしその問いにさも当たり前の様に王子は言った。


「クロードのそばに居たならわかるだろ。強すぎる力は制御出来ない。だから聖女の人数を増やして力を分けたんだ。」


「分散して制御しやすくしたってことか。へぇー」


ちゃんと意味あったんだね。いっぱい居た方がいいからとかだと思ってたわ。

それなら聖女一人一人の力は弱いってことか?


「君今馬鹿にしただろう?顔に出てる。」


「いいえ、そんな事ありませんよ?」


思わず敬語になる。

そんなに顔に出るの?あっちの世界では言われた事無かったけどみんな黙ってたな?道理で何か賭ける時ババ抜きの提案が多い訳だ。


「…なんだか毒気が抜かれるな。そう言えば名前はなんて言うんだ?」


「私?里香です。王子様の名前なんだっけ、忘れちゃった。」


「君に魅了が効かないの俺に興味がないからだな。ルシムだ、ちゃんと覚えろ。」


なんでだろう、興味ないっていうのになんだか嬉しそうにみえる。ドMとか?


「ルシム王子はさ、あんまり悪い人って感じがしないんだけどなんでこんな事してるの?」


ここまでストレートに聞くつもりはなかったんだけどつい口からこぼれ落ちる。どうやらまだ酔いが抜けてないらしい。


そう言うと王子はいらないと言われた。私の問いにも嫌な顔はせず少し考える仕草を見せる。


王様は嫌な感じが凄かったし初めて会った時のルシムも嫌な感じだった。でもこうやって話してみるとそこまで嫌な感じはしない。


「この場合のこんな事とは?」


「本当に戦争するつもり?」


「…するよ、その為に召喚したんだから。」


「ふーん。嘘っぽいなぁ。」


また口が滑った。思わず手を口に当てる。酒はダメだな、お口が正直だ。


「お前……はぁ…」


「知ってる?溜息は幸せが逃げるんだよ。」


「なんかお前と喋ってると俺が馬鹿なのかって気がしてくる…」


酷いこと言うなぁ。でもその目は最初の頃よりちゃんと私の目を見ている。ちゃんと私に向き合ってくれる気はあるらしい。



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