対面1
とうとうこの日がやってきた。
こちらの事情や相手側の事情もあり公にではなく、非公式での謁見にしてくれたとの事で本当にありがたい。
行き方としては転移石を使うそうで一回しか使えないが石に記憶した場所に転移できると言う便利なものだそうだ。そんなんで行けるとか警備大丈夫なのかなって思ったけど特別性だから問題ないらしい。
当日アレンさんが迎えにきてくれた。
転移石は持っている人の手などどこかしら触れ合っていれば数珠繋ぎで転移できるそうなので準備を整えアレンさんの手に手を置いたら叩かれた。
「クロード痛い。」
「別に里香がアレンと手を繋ぐ必要は無いでしょ。」
「クロードと手を繋ぐのは嫌なんですが…」
「俺だってやだよ、気持ち悪い。」
そういうとクロードは左腕で私の腰を抱いて右手でアレンさんの肩に手を置く。
「別に触れ合ってればいいんだからこれでいいでしょ。」
「構いませんが離さないよう気をつけてくださいよ?」
「ねぇ、クロード。これ抱き寄せる必要あるの?」
「途中で離すとどこで落ちるか分かんないけどいい?」
「すいません、お願いします。」
大人しくクロードの服を掴む。そこまで長い時間では無いけど数秒間異次元みたいなところを通るそうで人によっては酔うそうだ。ちょっとドキドキしてきた。
「では行きます。」
アレンさんが右手に持った棒のような石を片手で折る。
するとグニャリと視界が歪んだ。
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「んん…」
「あ、起きた?」
ゆらゆら、ゆらゆら。
身体が揺れている。どうやら抱き抱えられているようだ。
気持ち悪くて目を開ける元気もない。
「?」
「里香これ苦手なんだね。転移始まってすぐに気を失ってたよ。」
「…気持ち悪い…」
「吐かないでよ?大丈夫、すぐ良くなるから。」
転移酔いしてクロードに抱えられているようだ。全くもって情けない。乗り物酔いとかした事ないのになぁ。
「うん、ごめん。」
立ち上がりたいが立ち上がれる気がしない。
情けないがこのまま運んでもらう。
「大丈夫ですか、里香さん。すいません、ここまで体質的に合わないとは思わず。」
申し訳なさそうなアレンさんの声がする。私は首を横に振って大丈夫と伝えた。
少し歩くと目的の部屋に着いたようだ。
流石に王様に会うのにこのままは失礼なので降りようとしたがクロードとアレンさんにも止められた。
「そういうの気にする方じゃありませんから」
「そうそう。今立ち上がったら吐くよ、その方がやばくない?」
「うん、すいません。」
グロッキーな登場は避けたいので大人しくすることにした。
「ガレオ様。里香さんとクロードをお連れしました。」
アレンさんが扉をノックする音がする。中から「おう、入れ
」と豪快な声が聞こえる。
扉が開くと同時にどうにか目を開け前を見据える。
そこにはものすごく大きな男の人が立っていた。身長は3メートルはありそうで筋肉も凄くガタイがいい。赤い髪はたてがみの様にうねり腰まで伸びており、同じく赤い瞳の眼孔は鋭い。その様はまるでライオンを人にした様だと思った。
「やっと来たか!…ん?大丈夫か?」
「転移酔いしてしまった様です。」
「あれか。気持ち悪いよなぁ、俺も苦手なんだよ。あれ使うくらいなら走るわ」
「やめて下さい、追いつけないので。」
「こんな状態ですいません…」
「気にすんな、お嬢ちゃん。里香って言ったっけ?俺はガレオって言うんだ。向いてねぇけどシュクルドの王様やってる。よろしくな。」
厳つい見た目な上に王様という身分からはかけ離れたほど気さくに声を掛けてくれると頭を撫でられた。
「ちょっとガレオ。気持ち悪いのにそんなぐいぐい頭撫でたら里香しんどいでしょうが。」
「あ?すまんすまん。クロードも久しぶりだなぁ。やっと顔出したか。」
「そうだっけ?忘れちゃったよ。とりあえず里香おろしてあげたいんだけど。」
「それもそうだな。ほら、そこのソファに寝かせてやりな。」
なんだかふわふわの豪華なソファに横にされそうになったがとりあえずそれは断って座ることに成功した。
隣にクロードが座って肩を貸してくれたので遠慮なく借りて頭を預けた。
「本当に、申し訳ありません…」
「気にすんなって言ってんだろ。あと堅苦しい喋りしなくていい、性に合わん。」
「ですが…」
「そうそう、敬語なんて使わなくていいって」
「そうです。そういう人なんで気にしないでください。」
「…わかった。ありがとう、よろしく。」
「おう、それでいい。アレン、茶頼む。」
「もう準備してます。」
言うのと同時に目の前のテーブルに紅茶、私の所にはお水も置いてくれてとても助かる。一口飲むと少し体が落ち着いた。
アレンさん頼りになるな、第一印象とだいぶ違うけど。公私分けるタイプ?
どうでもいいことを考えてる間にどうにか身体を自分で支えて座れるくらいには回復したので改めて座り直して目の前に座るガレオに向き合った。
「改めまして。里香です。よろしくお願いします。」
「おう、よろしくな、里香。俺のことはガレオって呼べ。なんとなくの事情は聞いてるがあらためて教えてくれるか?」
私は今までの経緯をかいつまんで説明した。
そしてこれからどうするか何も決まっていないことも話す。
黙って聞いていたガレオは話が終わると大変だったなと労ってくれた。
「それでクロード。お前は言うことなんかあるか?」
「えー、何かって?」
「お前から変なメモ貰ってからどう言うことかアレン寄越して散々催促したのに殆ど何も言わねぇからどれだけ大変だっかわかってるか?」
「えぇ、大変だったの私ですがね。」
ガレオの言葉にアレンさんは大事な事だと補足する。よっぽど大変だったんだね、アレンさん……
「ったく。自由にするのは構わねぇが最低限連絡は寄越せよ。」
「はーい、わかったよー。」
「んで、アレンから聞いたが里香は結局聖女じゃないのか?」
「え?」
「うん。里香、ステータスみせてあげて。」
よく分からないが言われた通りガレオにも見える様にステータスを表示する。
アレンさんとガレオはそれをざっと確認するとなんとも難しい顔をしていた。




