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デートに行こう


「ねぇ。クロード」


「ん?なにー?」


私が王様に会うと決めた日から少しクロードの様子が変だ。何と言ったらいいんだろう、心ここに在らずって感じだろうか。なんだかぼーっとしている。


「何じゃないよ。どうしたの、最近ぼーっとしてる事多いけど。」


「そう?別に何もないけど?」


明らかに嘘だ。絶対何か悩やんでるけど言う気がないらしい。

今だって気づいてないけど羽出てるし。触ったら怒られるかな?


「そう。それじゃ今日からもう私の布団に入ってこないでね。」


「なんで?!」


ぼーっと浮かんでたクロードが信じられないみたいな顔でこちらを見る。反動で羽も消えた。ちぇっ。


何でじゃないよ。逆に何で入ってきていいと思っているのか。

アレンさんがここにきた日以来、朝起きると何故かクロードが隣で寝てるのだ。最初は毎朝苦言を言っていたのだがいくら言っても辞めないのでめんどくさくなって放置している。


「わたしには話せない事?」


何か悩んでいて辛いなら話して欲しかった。

確かに付き合いは浅いけどもう十分友人だと思ってたんだけど。


思わず落ち込んでしまって、すぐに気付く。

クロードが言ってたではないか、感情が分かると。悲しんでいることが伝わってしまう!

そう気がついた時にはもう遅くてクロードは何か考え込んでしまっていた。

(あぁっ!追い討ちをかけてどうするのよ!)

悩んでる人間の悩みを増やして私はどうしたいんだ!自分の馬鹿さ加減に思わず頭を抱える。


「あ、あのね!無理に話してとは言わないから!」


「………ねぇ、里香。」


顔を上げてこちらを見るクロードは真剣な顔をしていて思わず言葉が引っ込んだ。


「デートしよっか」


「………へ?」


そうと決まれば早速行こうとクロードはわたしの手を引っ張る。唐突すぎてよくわからない。

でもまぁ、気分転換にはいいか。


ウルリにはお留守番をお願いしたらすんなり引き受けてくれた。案外空気が読めるらしい。


下にはソフィもいたけど察してくれたのか静かに見送ってくれた。


「どこ行くの?」


「んー、どこがいい?考えてなかった。」


「そう、それじゃお昼も近いしご飯食べよ。久しぶりにあの変なソーセージ食べたいな。」


あの串に刺さったグネグネのやつ。そういうとクロードはあぁと笑って、隣に並んだ。



そこからいろんな店を回った。折角だからと洋服を買って2人で着替えてみた。こんなヒラヒラしたスカート履いた事無かったからどうかと思ったがクロードは喜んでたからいいか。

途中雑貨屋さんで可愛いお守りを見つけた。付いている珠の色によって効果が違うとかで折角なのでお互い相手に見えないように買って贈り合うことにした。

なんでそんな面倒な事するのかと言われたのでデートっていうのはそういうものなのよと返しておいた。が、そんなものした事ないので合ってるかはわからない。


最後にクロードが行きたいところがあると言うので行くことにした。少し遠いのでクロードに抱えられて空を飛んで目的地に向かう。


着いた先は開けた丘の上だった。


「ここは……?」


「ロールロイゾンだよ、君がこの世界に来た始まりの場所。」


ここからはロールロイゾンの城と下に広がる町が一望できた。遠目に穴の空いた白い城が、そして丘の下の町。しかしシュクルドに比べ家はボロボロで住む人々に活気は感じられない。


「昔はもう少しマシだったんだ。でも俺が焼き払ったんだよ、城も町も。」


「え?」


クロードは下の町を見たまま、こちらを見ない。


「それを後悔はしてないし当然だと思ってる。って言ったら怒る?」


「それは……」


クロードは何を言っているんだろう。何を言って欲しいんだろう。

ただ、下の町をクロードの横に並んで見てみる。

人々の顔に笑顔はないし、暮らしも苦しそう。素直に可哀想だなと思った。でも…


「ごめんね。素直に言うけど…」


「うん。」


「なんで怒る必要があるの?」


「…え?」


不思議そうな顔でクロードはこっちを見た。


「理由は知らないけど焼かれて当然なんでしょ?クロードがそう言うなら信じるわ。」


薄情だと思うがこの可哀想って感情はテレビ越しにみたニュースと同じようにしか感じられないのだ。

それにクロードが関わっているとしてもそれならきっと理由があるのだろう。


「知らない人達よりクロードの味方になるに決まってるじゃない。なんでそんなこと聞くの?」


「君の世界は平和そうだなって思って。争いとかなさそう。だから嫌がるかなって。」


「無かったわけじゃ無いよ。ただ、身近にはなかっただけ。私に怒られるか怖くて悩んでたの?」


それこそテレビの向こうの話で現実味は薄い。

そんなことで悩んでいたとはクロードもなかなか可愛いとこがあるんだなぁ。


思わず小さくわらってしまった。



「笑わないでよ。里香に嫌われたらやだなぁって思ったんだから。ガレオは知ってることだから聞いちゃったらアレだし。」


「そっか。教えてくれてありがとう。」


「…何があっても里香は俺を捨てたりしない?」


クロードは少し不安そうな顔で聞いてくる。


私に嫌われる事となにかまだ不安があるのだろうか?

ただ一つわかることは私がクロードを捨てるというのはあり得ないって事だけ。


「逆でしょ?」


「逆?なにが?」


「私がクロードに拾われたんだから捨てるとしたらクロードが私を捨てるのよ。だから逆。」


「俺が、里香を捨てる…?」


「そう。捨てる?」


静かに、少し真剣な気持ちを混ぜて聞いてみる。

私の質問に少しの沈黙の後、クロードはあははと大きな笑い声をあげた。


「捨てないよ。絶対。」


「よかった。なら、いいけど。あっ、そうだ。」


私はさっき買ったお守りをクロードに渡した。色は黒。


「安眠のお守りだって。これあれば1人で寝れる?」


「いや、無理。」


そういいながらクロードも買ってきたお守りをくれる。


「いや、寝てよ。これは黄色?」


「幸運を運んでくれるんだってさ。」


クロードにしては良いセンスしてるな。


「確かに効果はあったね」


小さな声で何かクロードが呟いたような気がしたが何も聞こえない。


「?」


「帰ろっか、里香。」


「あ、うん。」


来たとき同様クロードが私を抱き上げる。空はすっかり暗くなっているがクロードの顔は晴れやかで悩みは解決したようでよかった。








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