聞いてないんですが
「ウルリの件は以上なんですが‥」
そういうとアレンさんはチラリとクロードをみる。
「いいよ、ここで話して。」
「何の事?」
「‥どうも里香さんの存在に気がついたようです。ロールロイゾンが。」
「え?」
「あそこの王子、馬鹿なだけじゃなかったみたいだ。」
クロード曰く、ちょくちょくちょっかいはかけられていたそうだが全部私の見てない間に片付けていたらしい。
1人を拷も‥いやいや、詰問したところ王子の指示でかぎまわっていたと判明したそうだ。
「そこでシュクルドの王がどうしても里香さんにお会いしたいとおっしゃってるんです。」
「それは断ったよね。」
アレンさんの意外な言葉にクロードは眉を顰めて否定する。
「ちょ、ちょっと待ってよ。どういう事?」
話に全然ついていけない。何でそんなことをアレンさんが言うのかもさも当たり前かのようにクロードが断ってるのかも。
「きちんと話した事はありませんでしたね。私はこの国のお城で魔法技師として仕えていまして。今は王の命令でクロードのお目付役をやってます。」
「お、お目付役?」
なんだそれ?何でクロードにそんなものがつくんだろう。確かに言動も服も変だけどそんな監視されるような事は多分…
やらない…よね?
「里香、顔に出てる。また失礼なこと考えてるでしょ。」
じっと顔を見られたので思いっきり首を横に振る。
「様子見するくらいの軽いものですよ。ええ、本当に」
そういうアレンさんの顔はげっそりしていてなんだか軽いもので済んでいない感じがすごい。
「アレンは引きこもってたいタイプだからね。最近は俺が大人しくシュクルドにいるから嬉しそうだったじゃん。」
「えぇ、いつでもそうしていて下さい。引きこもれるから受けた仕事なのに騙されましたよ。…失礼しました、話が逸れましたね。」
ゴホンとわざとらしく咳払いをすると話を戻す。
「貴女がこの国に入る前に王には既に話が通っています。簡単に中に入れたでしょう?」
そういえばすっかり忘れてたがクロードに引っ張られてすんなり入国できたんだった。話は通ってるってそう言うことだったのか。
「どうせバレるからちゃんと手紙送っといたよ〜」
「あの手紙ですが、もっとわかりやすく書けと怒ってましたよ。」
「わかりやすかったでしょ?」
「【面白いもの拾ったから帰る】ってやつの話ですよ?全然意味がわかりませんよ。」
いやいや、要点をまとめすぎだよ。そこまでいくと手紙じゃなくてメモだと思う。てか私はものか。
「そういう形式ばったこと苦手なんだよなぁ。」
「形式ではなく礼儀です、この場合。これのせいで何回城に呼ばれたと思ってるんですか、全く。」
なんだかいつもこうやって振り回されてるのかなと思うと同情してきた。
でも、2人の掛け合いから形式ばったものではなく2人は友達なんだなと感じられて思わず仲良しなんですねって言ったらアレンさんにすごい目で見られた。なんかすいません。
「というか、里香さんにちゃんと確認とってないんですか。結構前から会いたい旨は伝えていたでしょうに。」
「だってあんな脳筋に会って何話すって言うのさ。拳で語り合おう!とか言い出しそうじゃん。」
どんな王だよ。むしろ会ってみたくなってきたよ。拳で語り合うのはヤだけど。
「いえいえ、まさかそんな…そんな…大丈夫です。…多分」
まって、アレンさんこっち見て?!何でそんな自信なさげなの?怖いんだけど!
「えっと、まぁ戦う必要は無いので一度会って頂けないですかね?」
今後のためにも面識があるのはマイナスにはならないはずと言われ悩む。
正直会うのは別にいいんだけど聖女として祀りあげられるのはごめんなんだよなぁ。そのあたりはどうなのか、クロードの意見も聞いてみる。
「ガレオは脳筋タイプだけどそれでも王だからね、馬鹿では無いよ。そこんとこどうなの?」
「あくまで会ってみたいだけだそうで何かを強要するつもりはないと仰ってました。どちらにしろクロードが止めるでしょう。」
まぁねとクロードは返事をすると最終判断は私に委ねてくれるとのこと。
これからの事を考えるにはいい起点になるかもしれない。
「わかりました。会ってみます。」
その返事にアレンさんはあからさまにホッとした顔をする。
案外せっつかれていたのかもしれない。
それでは後日迎えにきますと言ってアレンさんは帰っていった。
ちなみにアレンさんが帰った後、感情がわかる云々を何故言わないのかと聞くと予想通り言ったらつまらないじゃんと言われたので頬を思いっきりつねっておいた。




