ウルリの可能性1
あの日から数日、私は特に何をするわけでもなくたまに買い物に行ったり、散歩したりとただただゆっくりと過ごしていた。
気持ちは穏やかで私に何があったのかとか色々思う事はあるがそれはまだ考えない。
今はまだ話してくれるまで待とうと思った。
そんな日の昼下がり、私たちの元にアレンさんが訪ねてきた。外に出ているからだろう、大雑把にだが髪の毛を後ろに結んでまとめている。
「ご無沙汰してます。お待たせしました、ウルリについて考えがまとまりましたよ。」
「わざわざすいません!ありがとうございます。」
アレンさんに椅子に腰掛けてもらってこの前買ったお菓子と一緒に紅茶を出した。
クロードに温めてもらって以来お湯も出せるようになったのでとても便利になった。ウルリ曰く、コツを掴んだとの事。
その事も話すとアレンさんは興味深そうにウルリを観察していた。
「それは凄いですね。私の考察はあながち間違ってないかもしれません。」
そういうと数枚の紙を取り出し、机に並べる。しかし何を書いてあるかまではわからないので首を傾げるしかない。それを言っていいものか悩んでいるとアレンさんは察してくれたようで読めなくて大丈夫です、読みますよと言ってくれた。
「あ、あの‥」
「大丈夫です、事情はクロードから聞いていますので。文字はゆっくり覚えていきましょう。」
教えますのでと言われてホッと胸を撫で下ろし、お礼を言った。
「文字は俺が教えるからいいよ。とりあえず本題に入りなよ。」
何故だか不機嫌そうなクロードにアレンさんは苦笑いで重症になってますねと小さな声で私に言うと一枚一枚丁寧に説明を始めてくれた。
「まず、ウルリですが事例がないので憶測ですが1人の生命体として存在しているようです。里香さんのMPが継続して減少するとかもないようですし、やったことが無いのでアレですが里香さんから離れる事もできるんじゃないですか?」
その言葉に私里香から離れないもんーとウルリは私の肩にしがみつく。
「ウルリを介して魔法を使う場合、MPの減少が見られたと言ってましたし媒体としての役割をしていると見て間違いでしょう。しかも減少量からしてもほぼ、魔族並みに使いこなしていますね。」
アレンさんの意思疎通をするという例え話を考えていたら生まれた事を話すと驚いていたが教えがいがありますねと喜んでくれた。
「魔法の指示は口に出さずに伝わるとの事でしたがあれから他の意思が通じるような素振りはありましたか?」
「いいえ、魔法の指示しかわからないようです。本人もそう言ってましたし。」
「なるほど。やはりウルリと貴女の間に契約に似た何がが結ばれているとみてよさそうですね。」
「契約?」
「本人に意識はないんでしょうが存在を具現化してもらった代わりに媒体の代わりを担っているといったところでしょうか。ウルリが生まれた時にその利害が一致して偶発的に生まれたのでは無いかなと思ってます」
まぁ、憶測に過ぎないのですかと頭をポリポリかいて困ったような笑みを浮かべる。
「それでも凄いです!」
「いえいえ、そんな。………はぁ。そんな顔で見ないでください、クロード。」
後ろを振り向くとむくれた顔でアレンさんを睨んでいるクロードがいた。ハブられたと思って不貞腐れてるのかな?
「クロード、ちょいちょい」
手招きするとふくれっつらのままだが素直にこっちにクロードが来た。
「はい、口開けて」
「?」
よくわからないという顔をしたがやはり素直に口を開けるクロードにお茶菓子のクッキーを一つそのまま口に突っ込んだ。訳がわからないという顔だがやはり素直に咀嚼するクロード。
「??」
「蔑ろにしてる訳じゃ無いよ、クッキーでも食べてなさい。」
そう言ってもう一枚手に取って差し出す。
ポカンとした顔から一転、満面の笑みに変わるとパクッとクッキーを食べた。
「いや、もう自分で食べてよ。」
「やだよ、食べさしてー」
不機嫌な様子はもうなくて私の横に足を組んでふわりと浮き上がって静止した。そんな事もできるのか。
「扱いが上手いですね、助かります。」
本当に、助かりますと念を押すようにお礼を言われ、なんだかいつもクロードが迷惑かけてるのかなと苦笑いで答えた。




