勘弁してください
「ん…ううん…頭いったぁ‥」
頭がガンガンする。昨日泣きすぎたせいだろうか。
あまりの痛さに目を開けられず唸り声をあげてしまった。
そんな私を心配してか可愛らしい声が聞こえるとともに頭に冷たいものが張り付いた。
「里香、痛い?大丈夫?」
「ん?ウルリ?」
なんだか冷たいものが頭の上でもにょもにょと動いているのを感じる。多分ウルリが張り付いて冷やしてくれているのだろう。
「ありがとう、ウルリ。出来れば目の上に乗ってくれると嬉しいな。」
絶対目がパンパンになってるよなぁ
少し冷やせば楽になるかなと思って目をつむったままお願いすると頭上から他の声が聞こえてきた。
「こういう時はあっためたほうがいいんじゃない?」
「私お水だから冷たいよぉー?」
(?)
何故頭上から声が?
恐る恐る目を開くと頬杖をついて横に寝転がっているクロードが飛び込んできた。俗に云う添い寝状態で。
「おはよー、よく寝られた?」
思わず目を擦ってもう一度見てみる。
「こらこら、擦っちゃダメだろ。」
「里香ー、クロードが私の温度上げてくれたからあったかいよ。目の上乗る?」
頭の上の方から覗き込んでくる2人に声が出ない。
「ウルリお願い。…クロード、何故同じベットに…?」
どうにかそう絞り出すととウルリは嬉しそうにぺたんと目に張り付いてくる。ほんとだ、あったかい…
質問をした後に昨日の記憶が蘇ってくる。
(そういえば思いっきり抱っこされていたような…)
横抱きに、お姫様抱っこのように。
そうだ、そして寝てしまったんだ…泣き疲れて。
思い出してきて顔に熱が集中するのがわかる。思わず顔を布団で隠した。その拍子にウルリは目から落ちてしまい、ひゃーと声をあげて転がってしまった。ごめん、ウルリ。
「ごめんなさい、私のせいよね。」
服を握って離さなかったとかそんな理由かもしれない。そう思って辛うじて目だけ布団から出すと謝罪を口にした。
「…いいや?そばに居たかったから一緒に寝ただけだよ?」
…キャパオーバーです。再び顔を布団で隠す。
何だそれ、恥ずかしすぎる。無理。
顔が見れなくてううぅとまた唸り声をあげてしまった。
「里香ー、それじゃあっためられないよー」
お布団の上からぺちぺちとウルリが頭を叩いてくる。
「あ、あぁ。ごめん、ごめん。」
布団から顔を出すとベチンと今度は大分激しめにウルリが目に張り付いた。
「動いちゃダメなのー」
あったかいけどちょっとぬるいなぁなんて思ってるとまた温かくなってきた。
「温度はこのくらいでいい?あんまり上げるとウルリ蒸発しかねないし」
「うぇ?あ、うん。ありがとう」
急に降ってきたクロードの声に動揺しながらも返事を返す。さっきクロードに温めてもらったって言ってたな、そういえば。
(ぬるいなんて言ってないのになぁ)
やっぱり心が読めるのだろうか?だとしたら今はとても恥ずかしいので勘弁してもらいたい。
ウルリは怖いよーと騒ぎながらも目に張り付くことはやめずに温め続けてくれていた。
「朝ごはん持ってくるからそのまま待ってて。」
クロードが隣から起き上がる音がする。
しかしそれ以上離れる気配がないので疑問に思っているとベットの軋む音がしてすぐ近く、耳元で声がした。
「心を読んでなんかいないってば。全部顔に出てるよ?」
「うわぁーーっ?!」
耳元で囁かれて思わず叫んで耳を押さえる。その振動でウルリがまたひゃーっと叫んで転がっていく。ホントごめん、ウルリ。
楽しそうな声を上げながらクロードは部屋を出て行った。
私はあまりの恥ずかしさに枕に顔を埋めて悶えることしかできなかった。




