妖精生み出しちゃいました
「うーん」
数日後、私とクロードは街の外れへときていた。
「上手くできなーい!」
いくら手から水が溢れるイメージをしてもうんともすんともいわない。あまりにも何も起きないのでクロードに練習に付き合ってもらっているのだ。
「人間と魔族じゃ魔法の使い方が違うからあんまり教えられるものじゃないんだけどなぁ。」
そう言いながらクロードが手を出すとそこからは水が止めどなく溢れている。
「どうやって魔法を使っているの?」
「周りにある魔素を直接手のひらに集めて水出てーって思ってるだけなんだけど。」
集めると言われましても何にも感じないのでどうしようもない。
「魔族と違って人間は媒体通すからもっとしっかりイメージしないと。」
魔法はイメージが大事なんだそうだ。具体的に、その現象を思い描かないと魔素は反応しない。
「私からしたら魔法があるっていうだけで現実離れした現象だからなぁ。あーあ、魔素と話せればいいのに。」
アレンさんの説明みたいに直接魔素と話せればいいのに。
目の前に見えていて言葉が通じればもうちょっと現実的に受け止められる気がするんだよなぁ。こう、よく童話に出てくる羽根のついた小さな妖精みたいな感じで。
「コンナカンジ?」
「そうそう、そんな感じ‥って、えぇ??」
可愛らしい声が聞こえたので普通に返事をしてしまった。
気がつくと目の前に小さな羽根の生えた女の子が浮かんでいる。髪も瞳も水色で私がその存在に気がつくと嬉しそうに一回転した。
「うわ、なにこれ。」
「ハナシテー」
クロードにも見えているようで器用に妖精?のワンピースの首根っこを掴んで眺めている。
「可哀想でしょ、離しなさい。」
クロードの手から彼女を助けると自分の手のひらに乗せた。
怖かったのか私の指にしがみついている。
「可愛いー。妖精みたい。」
「妖精ってなに?」
この世界に妖精という概念はないらしく私の世界にも実際いるわけではないが童話なんかによく出てくる存在だと話した。
「その妖精に似てるわけか。」
「うん、妖精は小さい人間みたいな描かれ方をする事が多いから。」
目の前にいるこの子は私の妖精のイメージそのままだ。
「‥それならこのちっこいのを産み出したのは君なんだろうね。」
「え?」
「言ってたじゃん、魔素と話せればいいなーって。」
つまりこいつは君が魔素で生み出した妖精って事。
そういうとツンツンと妖精の頬を突く。妖精はヤメテーと言って飛んで私の髪の毛に隠れてしまった。
「水を手のひらから生み出すより昔から知っていた妖精の存在の方がイメージしやすかったって事だろ、多分。」
「え。魔法って生き物を生み出す事もできるの?」
「いや‥」
クロードは少し考えた後、妖精に水を出すよう頼んでみるように言った。
言われた通り妖精に話しかけてみる。
「あの、私の手のひらから水を出したいんだけどできるかな?」
「‥デキルヨー」
ハイっと妖精がいうとさっきまでなにも起きなかったのに手のひらから水がとめどなく生まれて溢れた。
「うおっ、出来た!凄い!」
(でも勢いが強い!もうちょっと弱く‥)
妖精に威力を弱めてもらうよう言おうとしたら言う前に水の勢いは弱まった。
「ワタシ、アナタのヨウセイ。イイタイコト、ワカルヨ。」
つまり思うだけでも妖精に伝わると言うことだろうか。
「なるほどね、里香。指輪をとってやってごらん。」
クロードがそう言うのでよくわからないが一旦水を止め外してみる。
(水を出して!)
すると媒体はないのに手のひらから水が溢れ出した。
「あれ、できた?!」
「その妖精が媒体の代わりになってるみたいだね。」
「そうなの?」
小さな妖精を見つめるとうんうんと嬉しそうに頷いている。
「ワタシ、ミズツカウ、デキルヨ」
つまり水を操る事なら媒体がなくても妖精さんがやってくれるということか。
「はぁ……。とりあえず魔法が使えたのは良かったけど、この妖精は不味いな。」
「え?なんで?」
「残念な事に普通の人間は新しい生き物生み出したりそれ使って簡単に魔法使ったりできないんだよね。」
そう言われて思わず青ざめる。
「もしかして物凄く目立つ?」
「もしかしなくても目立つよ。」
とりあえず妖精を隠しなと言われたのでポケットに入ってもらうことにした。




