特化型と万能型
「媒体というのは基本的に魔法技師が作ります。オーダーメイドで作ることもあれば既製品で買うこともできます。やはり性能がいい物の方が指示が通りやすいのでお金持ちはオーダーが基本です。」
そういうとアレンさんは指輪を一つ差し出した。シルバーのゴツい指輪で私には少し大きい。
「これはうちで扱っている媒体になります。媒体は別に形に制約はないので好きな形でいいのですが使いやすいので指輪や杖が人気です。」
つけてみるように言われたので着けてみるとブカブカだった指輪は小さくなり私の人差し指にピッタリにはまった。
「どんな人が使うかわからないのでサイズは持ち主によって変わるようになってるんですよ。」
「凄いですね。」
グーパーグーパーと手を動かしてみるが指輪は動かず、邪魔にもならない。
「里香さんにお貸ししますので少し使ってみるといいですよ。」
「いいんですか?」
わぁー、なんだか指輪がキラキラして見える。嬉しくて手を持ち上げ色んな角度から見ていると笑われてしまった。
恥ずかしくて思わず縮こまる。
「ただ、その指輪は水属性の魔法しか使えませんがね。こういうのを特化型といいます。」
特化型はその名の通り、一つの属性に特化した媒体の事でこの指輪は水属性の魔法の指示が万能型より通りやすいそうだ。逆に他の指示は通りにくいらしい。
「基本的にはすべての指示を通す事ができる万能型でいいと思いますが魔法にも相性がありますのであえて特化型を使い一つの魔法を強化するのもありですね。」
「特化型は万能型より使いやすいのでまずはそれで水魔法を練習してみてください。次回魔法との相性や種類などお教えしましょう。」
宿題ですと言われたのではいっと手を上げ返事をした。
「使い方自体は簡単です。イメージすればいい。」
そういうとアレンさんは手のひらを上にする。
「小さな渦巻きが手のひらで回っているイメージをする。」
すると閉め切った室内に僅かな風が生まれたことに気づいた。触ってみてもいいと言われてのでアレンさんの手に自分の手をかざしてみると
「凄い!」
私の手に確かに風が当たっているのがわかる。
「声に出す必要はないのですが最初はイメージを掴むために声に出してみるのもいいかもしれませんね。」
「わかりました、やってみます!」
両方の手のひらで器を作り、イメージをする。
「水が湧き出てくるように‥」
しかしいくらイメージをしてみてもうんともすんとも言わない。
「初めてだからしょうがないですよ。ゆっくり練習していきましょう。」
「はい‥」
とりあえず今日はここまでとなり、次は7日後にまたくることになった。それまでに水が出せるように練習頑張ろう!
「今日はありがとうございました。」
「いえいえ、お気をつけて。」
気づけば外はもう夕暮れ時で長いこと話していたようだ。暗くなる前に帰らなくては。
「アレンさんはちゃんと今日は寝てくださいね。」
「あははは、はい、そうします。」
一応念押しすると私は急いで帰路についた。




