ご飯は元気の素
「んー、ふわぁーっ」
あー、よく寝たぁー。ホテル並みにふわふわとまではいかないが家のせんべい布団の何倍も寝心地が良かった。
窓の外にはもうすっかり朝日が上っておりずいぶん長い事眠ってしまっていたようだ。
部屋を見渡してみるとクロードが見当たらない。あまりにも起きないからどこか行ったのだろうか?
(流石にお腹が空いたなぁ)
昨日の夜も食べずに寝てしまったのでお腹が空いた。クロードを探すついでに外に出てみるか。
手早く身支度を整えると部屋を出て、一階の食堂スペースへと向かう。
そこには数名のお客さんだけで昨日よりも静かだ。
「あら、おはよう里香。よく眠れた?」
キョロキョロと周りを見渡しているとソフィが声をかけてくれた。
「おはよう。うん、おかげさまで。クロードを見なかった?」
「クロードなら朝早く出かけていったわね。特に荷物も持ってなかったしご飯を食べてればすぐ帰ってくるでしょう。さぁ、こっちにいらっしゃい。」
ソフィは私を手招きするとカウンター席の1つにわたしを座らせる。
「この店は朝は出るけどお昼と夜は別料金よ、食べたかったら声をかけてね。普通に食事処としても機能してるし追加するのは簡単だから」
そう言って裏からトーストとサラダ、ベーコンの乗ったお皿を私の前に置いてくれた。
「スープも持ってくるから先に食べていて」
そういうとソフィは裏へと引っ込んでいった。
「いただきます。」
手を合わせサラダを口に運ぶ。
(うん、マヨネーズみたいなソースがかかってる、美味しい)
周りの他のお客さんの食事を見てもどうやら食文化はそこまで差異がないらしい。流石に白米や味噌汁といった日本の文化があるかはわからないが食べられないような食事ではなくてホッとした。
(ご飯が口に合わないとか死活問題だものね。)
生活する上で食事はとても大切な事だ。慣れないもの、不味いものを食べ続ければ気力はもたず身体も弱る。
ただでさえ、見知らぬ世界にいるのだから少しでも体力をつけなくては。
「あら、足りないかしら?よっぽどお腹すいてたのね。」
パクパクと気持ち早めでご飯を食べていた私の元にスープを持ったソフィが戻ってきた。
「まだ熱いからゆっくり飲むのよ?」
そう言って差し出してくれたスープは小さく刻んだ野菜の入ったミルク色のスープでとても美味しそうだ。
湯気がもうもうとあがっていたのでスプーンでくるくるかき回し息を吹きかけ冷ます。
スプーンですくい一口、口に運ぶがまだ熱く火傷してしまった。二口目は念入りに息を吹きかけ冷まし飲む。
「うん、美味しい。」
「ふふっ、ありがとう。ごゆっくり」
そういうとソフィは私に手を振り仕事へと戻っていった。
言われた通りゆっくりスープを飲み干すと身体はポカポカし目や身体がしっかり目を覚ましたのがわかった。
さて、これからどうしよう。クロードを探しに行こうか。
そんな事を考えながらお水を飲んでいると
「いやぁ、美味しそうに食べるよね。君って。」
「え?」
後ろを振り向くとそこにはテーブル席に1人で座ってこちらを見ているクロードがいた。
「いつの間にいたの?気づかなかったわ。」
「君が美味しそうにサラダを食べ始めたくらいからかな?いい食べっぷりで思わず見とれちゃったよ。」
それって序盤からじゃない。そんな前からいたなら給仕をしてくれていたソフィが気づかないとは思えないけど実はいることを知っていたとか?
思わず怪訝そうな顔をしてしまったがクロードは一切気にしていないようでニコニコとしている。
(まぁ、彼が不思議なのは今に始まった事じゃないか)
なんならわざわざ見つからないように隠れでもしていたのかもしれない。そういう事は好んでやりそうだなと思った。
「さて、ご飯も食べ終わった事だし買い物に行こうよ、里香。」
「うん、別にいいけど何を買うの?」
ここ2日間くらいと短い時間だがクロードと過ごしていて衣類等必要最低限の物は何故か揃っていたので特に不自由はない。定住するならまだしもまだわからない段階で荷物を増やすのもな、なんて事を思っているとクロードは君って物欲無いよねーと笑った。
「あんな俺が適当に準備した服じゃなくてちゃんとした服だよ。あと日用品も自分の目で見て決めるといい。買い物はこの世界を知るのにいい手段の1つだと思うよ?」
確かに元の世界でもその地域のお店を見れば何となくどんな街なのか分かるものね。買う買わないは後にしても見て回るのはいいかもしれない。
「それもそうね。行こっか」
私はご馳走様でしたと食べ終わった食器をソフィは見当たらなかったので他の給仕さんに渡し、店を出た。




