ロロ登場
小さな森を抜け、少し歩くととても大きな川が見えてきた。この川より向こうがシュクルドになるらしい。しかし、いくら川の端を見渡しても橋のようなものは見えず困惑する。
「どうやってこの向こうに行くの?魔族なら空を飛んだりできるかもしれないけど人間も住んでいるんでしょ?
これじゃ行き来できないじゃない。」
防衛の為に橋を上げておくとかなら理解できるが橋がなければ人間は行き来することができない。それでは意味がないのではないか、そんな風に思っていると
「大丈夫、大丈夫ー。おーい、渡りたいんだけどー!」
クロードが川に向かって叫ぶと川の中からぴょーんと上に高く青くて丸いものが飛び出してきた。
「!?なにっ??」
陸地に無事に着地したその青いものはバスケットボールくらいのサイズをしておりよくみると小さな手のようなひれのようなものもある。クチバシは黄色く、お腹はまあるく白い色をしておりくるりと丸い黒い目がこちらを見つめていた。
(‥‥丸いペンギン‥?)
「クロードしゃま!クロードしゃまならとべるでしゅよ?」
拙い言葉遣いでペンギンもどきが喋った。
「連れがいるんだ、橋を出してくれるかい?」
クロードはしゃがみ込んでその青い生き物を撫でながらお願いする。短く毛が生えているようでクロードの指の隙間から毛が飛び出しているのが見える。
「おちゅれしゃんでしゅか?」
クロードの影になってよく見えなかったのかひょこっとペンギンもどきがこちらを見つめてきた。
「はじめましてでしゅ。あたちはロロっていいましゅ。よろしくでしゅ!」
「私は里香、よろしくねロロ。」
そういうと私もロロを撫でようとしてピタッと手を止める(確か急に手を出すと犬とかはよくないって言うわよね‥)ロロがどうかは知らないが怖がらせたくはない。
私は手のひらを上にしてロロの前にだす。ロロはおずおずといった感じで私の手に触れてくれた。ふわふわとしか感触が伝わってきて思わず笑みが漏れる。
(か‥かわいい〜〜!!)
撫でまわしたいのをグッと我慢して小さく手を握り返し離れた。ロロは私の顔をじっとみてなぜかその場でぴょんぴょんとジャンプする。とても可愛い。
「あの、いまはしだしゅですね!ちょっとまっててくだしゃい。」
そういうとロロはてちてちと小さな足で川に入ると潜っていった。
ロロが潜ってから今まで黙っていたクロードが不思議そうに口を開く。
「‥‥撫でるかと思ったのにどうしてやめたの?」
「だって急に撫でられたらびっくりしちゃうでしょ?本当は撫でたかったけど‥」
その言葉にクロードはへぇーと感心したような声をだす。
「ロロの種族はね、とても臆病なんだよね。だから急に触るとびっくりして身体の体毛を針状にして飛ばしてくるよ。ふふっ、気づいてたわけじゃないのかぁ。」
クロードは目を細めて笑うと残念ーっと大きいなため息をついた。
「はぁ?!なんで言わないのよ!危ないじゃない!」
クロードは普通に撫でてたから大丈夫かと思ったじゃない!もしかしてこいつ、それを踏まえてわざと撫でてたの?!私が撫でるように??
「怪我してもまぁ君なら治せるしいいかなって。」
「良くないわよ!痛いのは嫌に決まってるでしょ。あんた本当性格悪いわね‥」
げんなりした表情でそう言うとクロードはとてもいい笑顔をこちらに向けた。
(いつかギャフンと言わせてやる!)
私は小さく心に誓うのであった。




