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ルキナを止められなかったアリアはすぐに便利屋へと向かって起きた事を所長に伝えた。
「手遅か」
もう何もかもが終わったことのように所長は言う。
「まだ手遅れじゃありません。ルキナはまだ‥‥」
大丈夫と最後まで言い切れないところに本心が溶け出していた。
ルキナの人を殺したと言う言葉が今もアリアの頭の中を暴れ回っている。
「手遅れさ。殺しに関しては仕方ない、殺されたから殺した、そこは理解は出来る行動で擁護する人間だっているだろう。私もそれは罪だとは思わない不可抗力だ。だが今のルキナは冷静さを欠いてしまっている、帰り道を完全に見失ってしまった。あとはもう新たな拠り所に手を引かれ耳を塞がれ真っ直ぐ進んでいくだけだ」
「もう引き返せまい」と温度の無い言葉を吐き出した。
起きてしまったのだから仕方ない、そんな割り切りの良さ。ルキナと所長が顔を合わしたのは一回だけどそんな風にあっさりと割り切れてしまうのは冷たいとアリアは思ってしまう。だからついつい反発してしまう。
「引き返せます」
「どうしてそう思う?」
「ルキナは私に会いに来てくれました」
「不要になった金を返しに来ただけだろう」
「それだけならお金だけ置いて帰ることも出来たはずです、でも彼女は私を待っていてくれたんです。会って話をしてくれた、それこそがルキナが後ろを振り返れる証拠だと思うんです。ルキナはまだ完全に全てを捨て切れていない、止めてあげる人がいればきっと間に合います」
「止めたが聞く耳を持たなかったんじゃないのか?」
「それはそうですけど‥‥でも無理をしているみたいにも感じたんです。自分は悪人だって自分に言い聞かせるみたいに」
そんな言い訳をしないと復讐すら果たせない、そこにルキナの帰り道が残っている。
「直感か‥‥そんなものに命をかけるつもりか? もしルキナが堕ちるとこまで堕ちていたなら邪魔をしただけで殺される可能性だってあるんだぞ」
「殺される覚悟も無い人間が今のルキナを止めちゃいけないと思います。彼女は本気です、だからこっちもそれ以上に真摯に向かい合わないといけないんです」
「そこまでする理由がないだろ。一度助けられたとはいえ後に襲われたんだ、恩を感じる必要は無い。もしお前がちょっとした知り合いの不幸すら許容出来ないと言うならそれは傲慢だ。今のうちに生き方を改めないと自分も周りも破滅させることになる」
誰も彼も助けようとする事は決して美徳ではないと所長はアリアに言い聞かせる。
不幸というのは連鎖する。誰かの不幸に手を伸ばせばそこから不幸が流れ込む、自分一人で解決する力があれば問題ないがもし出来なければその人間を助けようと別の誰かが手を伸ばす、こんな風にして不幸が連鎖して行く。
割り切る、言葉だけ聞けば冷たい響きがあるがそれは余計な犠牲を出さない為に必要な考え方。
「所長がそんな事言ったって説得力ありませんよ」
アリアが笑った。
「だって所長が傲慢だったおかげで今の私がいるんじゃないですか。頼みもしてないのに勝手に助手を送り込んできて私を生かしたのは所長ですよ」




