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浮遊しているような心地。
水に浮いて流れに身を任せてるみたいに目的地も無く漂い続けた。
何度も人という障害物にぶつかって突き飛ばされて手足を擦り剥いて、だけど全然痛みが感じられなかった。
夢の中だから痛まない、それならこの悪夢から覚めれば何もかも元通りになる。
けどそうならないことをルキナは知っている。
何度目を閉じ開いても悪夢の中に囚われたまま変わらない。ここが悪夢の様な現実の世界なのだと思い知らされた。
母親も希望も感情も、そして生きてる理由も何もかもが消えてしまった。
今日も絶望が腹の底から湧いている。これに恐怖が呑み込まれるのも時間の問題だろう。
その時ようやく悪夢から目覚められる。
「ルキナ」
名前を呼ぶ声が聞こえる。
その声はいつもどん底にいる時に聞こえてくる。
「辛かったでしょう」
優しく抱きしめられると雑巾を絞るみたいに涙が溢れた。
色んな汚れを吸ったボロ雑巾から流れる水滴を優しく拭ってくれる。
「私もう生きてる意味無い!」
辛い消えたい死にたいと内側に溜まった汚泥をルキナは叫ぶ様に吐き出した。
どれだけ抗っても世界はルキナを傷付ける。どれだけ努力して前を向いても世界は足を引っ掛けてきて転ぶルキナを嘲笑う。
まるで生贄だ。
赤の他人の不幸を吸い込んで痛め付けられ笑われる生贄。
そんな風に考えてしまうと何もかもが憎くなる。
「こんな世界うんざり」
心の底から壊れてしまえと思った。
「じゃあ壊してしまいましょう。あなたの世界に不要なものを全て排除して理想の世界を作り上げるの」
タイミングが良すぎて心を読まれたのかと思って驚かされる。
実際そういう能力があるのかもしれないがそうだとしても怖いなんて感情は抱かない。
もうどうでも良い。今はただこの心地良さに包まれていたかった。
再び差し出された手を掴む、その手はルキナが立ち上がっても離れない。柔らかい微笑みで「一緒に来る?」と問われてルキナは即答した。




