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人殺しの助手  作者: レア
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「‥‥‥‥えっ、ちょっと待ってよ、何で?」


「とにかく会わないで」


レティスは何も悪いことをしていない、ずっと礼儀正しくて嫌う要素なんて一つもなかったのに。

いくら母の言葉でもそれに黙って頷くなんてことは出来る筈が無い。


「どうして?」


「‥‥あの子は私達とは住む世界が違うの」


「住む世界が違うって‥‥じゃあアリアはどうなの!? アリアだって私達とは違うじゃん!」


「とにかくもう関わらないで」


それ以降は何を聞いても母は頑なに口を噤んだまま答えなかった。


「母さんがそんな酷いこと言うなんて思わなかった」


内側から嫌なものが溢れていく。それが身体を乗っ取ってしまったかの様に止められない。


「私のせい? 私が生まれてずっとお金で苦労したからレティスみたいな裕福な子が嫌いになっちゃったの?」


母はそんな人じゃないと一番分かってるのにそんな言葉が口から出てしまう。


「お金が無いからって散々見下されて辛かったのにそれと同じような事をお母さんがするなんて思わなかった」


吐き捨てる様に言って部屋を飛び出す。背中では母の引き止める声が聞こえたけど無視して扉を閉める事で遮断した。


「ルキナ‥‥」


居るはずのない声、居てはいけない人の声。

いつも優しくも力強いその子の声が少しだけ湿っている。


「レティス‥‥」


聞かなくてもその顔を見れば分かる。

レティスはさっきのルキナと母の話を聞いてしまっている。


「ごめんなさい、盗み聞きするつもりは無かったんだけど言い合う様な声が聞こえて気になって‥‥‥ごめんなさい」


二度の謝罪、一度目が聞いてしまったことに対するものなら二度目はきっと争いの原因になってしまった事を謝っているのだろう。レティスはそういう子だ。

自身も傷付いているはずなのに人の痛みを優先する。


「違うの! お母さんきっとレティスのこと嫌ってるとかじゃなくて‥‥‥」


「私は気にしてませんから大丈夫ですよ。そんな事より仲直りしてあげて下さい、私のせいで二人の仲が悪くなってしまうなんてそっちの方が嫌ですから」


痛みを隠すみたいに笑って見せて「じゃあね」と去って行く後ろ姿に何も声を掛けられなかった。

こんなはずじゃなかったのにとルキナは唇を噛む。

結局病室にも戻らずに家に帰ると決めてとぼとぼと帰り道を歩く。

建ち並ぶ家々からいつも漂ってくる夕飯の美味しそうな香りも今日は感じない、頭の中では今も母の言葉が再生されてその度にどうしてと心が痛む。

感情が沈み込むのと一緒に顔も下を向いている、だから前がちゃんと見えていなかった。

ぶつかってようやく人の存在に気付いた。


「すいません!」


すぐに頭を下げるルキナに「いいのよ」とその人物は優しく答えるその声は聞き覚えのあるものだった。


「あの時のっ!?」


ルキナに希望を与えてくれた人、絶望の淵から掬い上げてくれた人。


「久しぶり」


辛い時には彼女の笑顔があった。


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