葦沢と城戸、朝。
今回少し短めです
アラームが鳴る。
ピ、ピ、と耳障りな音が鳴る。
私はバッと布団を剥いで飛び起き、ダァン、と強く目覚まし時計を叩く。
毎日、アラームの音が鳴り始めてから止めるまでは五秒もかからない。
睡眠が浅いので、すぐ起きられるのだ。
「ふぁ……ねみぃ……」
最近寝不足気味だ。
主に恋人――千歳のせい。
夜に千歳と電話をする事が増えたせいで、最近寝る時間が遅くなってしまっている。
千歳は、私が寝たいと言ったらすぐに電話を切ってくれるだろう。しかし、私は睡眠時間を削ってでも千歳との会話を続けようとしてしまうのだ。
そして翌日後悔する。
そんな事を毎日繰り返しているうち、私は最近日中ずっと眠い。
先週なんて、千歳を家に招いておきながら、一人で寝てしまった事さえあった。本当に情けない限りだ。
寝不足だが、二度寝はしない。朝にはやたら強いのだ。
どれだけ眠気があろうが、起きると決めたらなんか起きれる。私はそういう人間なのだ。
「はよー」
「おはよう、綴」
台所でお弁当を作ってくれているお母さんに挨拶を済ませ、洗面所へ向かう。
そして、歯を磨いて顔を洗う。
この時間はなぜか、体感だと一分くらいな気がしてしまう。ルーティン化している行動って、すごく早く感じる。
さて、その後は朝食。
「いただきまーす」
六枚切りの食パンをトースターで焼いて、ジャムを塗って食う。
朝ごはんは家族揃って絶対パン派だ。
で、そこに目玉焼きかスクランブルがちょうど半々くらいの確率で出てくる。どちらにせよ醤油をかけて食べる。
ベーコンかソーセージもついてくる。
で、食後にレーズンを入れたヨーグルトを食べる。
私は結構少食なので、それでかなりお腹いっぱいになってしまう。
さて、朝食を済ませたあとは、しなくてはならない事がある。
私は部屋に戻ると、千歳に電話をかける。
三、四回くらいコール音が鳴ったのち、寝ぼけた千歳の声が聞こえた。
「ぅあ……もしもし……」
「もしもし千歳。おはよう」
「んー……おはよ……」
千歳は朝にめちゃくちゃ弱いので、毎朝モーニングコールをしてあげている。
普段しっかり者の千歳だが、朝だけは本当に弱いのだ。
私と付き合う前は、毎日アラームを二分おきに十個くらいかけて、どうにか起きていたらしい。
私が、モーニングコールしてあげようか?と冗談で言うと、千歳は嬉しそうに、お願い!と言ってきて、その翌日から毎日この習慣が続いてしまっている。
「ほら千歳、ベッド出て」
「うぁー……無理…………布団から出たくない……」
千歳のだらしない声は、正直言って超可愛い。普段は元気で可愛らしい千歳が、朝は気怠げで可愛らしいのだ。
朝起きるところを電話越しじゃなくて直接見たいなぁ、とよく思う。
「ちゃんと起きれなかったら一緒に学校行ってあげないよ」
「やだー……」
「じゃあ起きて。起きれたらあとでチューしたげるから」
「起きれなかったら?」
「してあげない」
「……今起きた」
「偉い偉い。じゃあそろそろ電話切るね。また後でね」
「はーい」
電話を切る。
毎朝ほぼ同じような会話だ。何十日もこんな感じの会話を続けているのに、まだ千歳はキスで釣るだけで起きてくる。そんなに私とキスしたいのか、可愛いな。
で、モニコが終わった後は、メイクしてヘアセットして出発。
最寄り駅までは徒歩九分。そこから電車で十二分行くと大きめの駅があって、そこで乗り換える。
そして、ここの駅の改札前で、しばらく待つと――
「綴ちゃんお待たせ!」
「あ、千歳、おはよ〜」
ついに千歳の登場。ここで合流して、二人で学校へ向かう。
学校に着くまでのあと十五分程度、一緒にいられる。毎朝こうやって千歳と登校できるだけで、学校が楽しみになる。素晴らしい。
私は千歳の手を取り、ホームへ向かうエスカレーターの方へ向かう。
「で……綴ちゃん、約束の!」
「はいはい」
私はエスカレーターを素通りし、その裏へ。
実はここに、ほとんど人目につかないスペースがある。
いつものようにそこへ行き、千歳の唇に優しく口付けをする。
「んへへ……今日も一日頑張れそう」
「私も……」
で、その後は電車に乗って学校へ。
たった十五分なんて、千歳と雑談しているとすぐに終わってしまう。
あっという間に学校に到着。
「じゃ、また後でねー」
「はーい」
階段を上り教室へ向かうと、その前で別れる。
今年は別のクラスになってしまったので、少し寂しい。
「おはよー」
「ん、おはよ」
教室に入るとクラスメイトの友達と軽く挨拶して、席につく。
以上が私のモーニングルーティン。
毎日こんな感じで代わり映えはしない。しかし、その変わらないのが良いのだ。
ずっとこうして変わらず千歳とイチャつきながら朝を迎えられたらいいなぁ、と切に願う。
こういう短めの話も今後書いていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。




