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『完結』天使と悪魔の言う通りに…ね?〜力を貰えず異世界へ…だから2人とも、俺に力を貸してくれないと死んじゃうんだけどッッ!?〜  作者: お汁粉パンチ
芸術都市サイデル

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第51話 相容れない相手

「私が傲慢の魔女…ハイネルだってこと」


 耳元で告げられた彼女の囁き。

 その言葉の意味を理解した瞬間、ゾゾゾッという寒気が背筋を走っていく。

 そしてついその場から、後ろへ向かって足を引いてしまう。


「そんなに恐れなくてもいいのに…。

だって、まだ何もしてないよ?」


 そんな俺を見て彼女は、分からないという事を示すジェスチャーをしながら首を傾げる。

 最初は可愛らしさも感じられたけども、今はただ不気味なだけ。

 十二単の様に幾層も重ねられた衣服は、彼女の本心を覆い隠す分厚いヴェールにも思えてきた。


 唯一の武器である腰に携えた短剣もこれは宝物の一種。

 到底戦闘には向かない代物だ。

 でも縋る様に手を伸ばしてしまうが、


「止まれ」


 彼女の発した一言でその手は止まってしまう。

 でも彼女の言葉は、正確には俺に向けられたものでは無かったらしい。

 その視線は、左右の騎士達へと向かっていた。


 それに追随する様にこちらも視線を向けると、彼らは揃って腰に携えた剣へと手を伸ばしていた。

 身体も、こちらへいつでも走っていける様な体勢になっている。


「君も例外じゃないよ、ダン君。

一旦止まって欲しいなあ〜」


「……分かった」


「安心して下さいダンさん、もしもの時は天魔融合発動出来ますから」


 少し不安定になっていた心に、頼もしい天使の一言が染み込んでいく。

 そうして俺は短剣へと伸ばした手を緩め、身体の横へと持っていった。


「そうそう、そういう感じで聞いてよ」


 こちらは心を乱されたのにも関わらず、彼女は何一つ気にした仕草は見せない。

 それはブラフなのか、それとも……こちらの攻撃が届くわけが無いと思っているのか。

 今は、決めつけるだけの情報は持ち合わせていなかった。


「別に私、悪い事してないと思わない?」


「………」


「だって、魔女を倒しただけだよ?

別に民間人を何かした訳でもないし、そもそもそんな事したら信者さんが減っちゃうでしょ?」


 そうして、ここぞとばかりに話し始める彼女。

 …でも感じる胡散臭さの中で、確かにと思ってしまっている自分もいた。


 別に悪い事をしている訳では…ない。

 だってそもそも、


「ダン君と一緒の事、してるだけだよ?」


 やっている事は同じなんだから。


「魔女は悪で、それを倒すのは正義…なんでしょ?

じゃあ、私ってどっちだと思う?」


 ただ、俺は頼まれただけ。

 創造神様からの頼みで異世界に来て、こんな事をやっているだけなのだから。

 それを対価もなく、やり続けている彼女の行動は…


「…正……義?」


 としか考えれなかった。


「じゃあ、答えは決まりじゃん!

大丈夫!もう魔女は、傲慢の1人しかいないから!」


「……え?」


「だってもう、君が憤怒と強欲を狩ったんでしょ?

残りは私が全部……殺しちゃったから」


 

 


 それにしても七つの大罪を背負った魔女…能力もそれに準じたモノなんだろうか。

 なぜ7人ではなく欠けてしまっているのか、それは不思議だけども。

 でも少ないに越したことはないし、良いんだけどね。



 そんな事を俺は、最初に彼女達の情報を聞いた時に思った。

 でもその理由を深くは考えなかった、考えてもしょうがないと思ったから。

 それが……彼女の仕業?


「だからさ、ダン君もゆっくりしなよ。

別に魔女を殺すのは手段であって、目的はこの世界の平和でしょ?

別に私たちが戦う理由なんてないんじゃないかなあ?」


「………」


 それは、そうかもしれない。

 俺は別に、積極的に殺したい訳じゃない。

 彼女もこちらが今までやってきた事と同じ事をしただけ…


 じゃあ何故、こんなにも飲み込めないのだろう。

 俺は、顎に手を当てて考え込んでしまう。


 何をしたかったのか、何故苦しい気持ちになる魔女討伐任務を続けているのか。

 今一度、立ち止まって考え直してみる。


 ………そうか、俺がやりたかったのは…


ガキンッッッッ!!


「なっっ!?」


 今までの行動、その原点を見つけ出した…そう思った時、そんな何かがぶつかった様な音が鳴り響く。

 それは、


「ルシェさん、ありがとうございます」


「いやいや、礼には及ばないって!

今は力が使えないんだし、隠れてて良いよ」


 黒い触手の様なものが、ヤオへ襲いかかる姿。

 それがルシェの展開した障壁にぶつかり鳴った音だった。

 そんな今まで目にしないったそれ、操る人間は根本を追っていくと簡単に見つけられてしまう。


「あ〜、魔女2人だけじゃないのか。

目立ってるからさ、つい油断しちゃったよ」


 触手達は主人の……白い衣装の裾の中へと消えていく。


「なん…で?」


「そこに、魔女がいたからね。

透明化してるみたいだけど、魔女を長年狩ってるとなんとなく気配が分かるんだ」


 彼女は全く悪気を感じていない様で、ペラペラと得意げに話す。

 それに俺が聞きたい事はそんな事ではない。


 でも分かったのは…価値観が合わないという事と、彼女に戦闘の意思があるという事。

 なら、この世界のルールに則り…戦うしか道はない。


 体を包み込む光の柱。

 跳ね上がった魔力に、軽い体。

 右手に握りしめた剣を手に、一歩踏み込む。


 即座に詰めた数mの距離。

 振り下ろした剣は正確に彼女の白い首を……


ガキンッッッッ!!


 間違いなく捉えたはずだ。


「この私に、刃が届く訳ないのに」

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