第48話 不穏な始まり
「それで、本当に芸術都市サイデルに色欲の魔女レイナがいるの?」
「カルナーク商会の情報網を舐めないでくれたまえ。
確実に彼女は潜伏しているだろう、その街に」
天使のセフィ、悪魔のルシェ、憤怒の魔女ステラに…新しく加わった強欲の魔女ヤオ。
そしてこの一行の戦い担当の俺…掛布段の5人は、目的地へと向かってのんびり歩いていた。
4人の魔女を倒す旅、次なる目的地はヤオがあげた芸術都市サイデル。
正直根拠は分からないまま、歩を進めている。
そもそもヤオと会ったのも偶然だし、魔女を自称していた存在なんてステラぐらいしかいないし。
「…今、俺のこと遠回しにバカ呼ばわりしたか?」
「してないから…」
まあ、外れたらその時はその時。
タイムリミットがある旅でもないし、気ままに…ね?
「見えてきましたね」
セフィが指差す先、そこには石造りの壁が遥か遠くだけども見える。
あれが芸術都市サイデルなのか。
ちなみにダイコウからは歩いて、ここまでで二週間ほどだ。
…普通に馬車を使えば良かったと今になっては思う。
まあ、ダイコウからだったらサイデル行きもあっただろうけど、その前にカルナーク商会の関係者として衛兵に追い回される未来が見える。
だから、泣く泣く歩きでここまで来たのだ。
それにしても…
「魔女って、なんでこんな近くに集まってるんだろ?」
冷静に考えると不思議ではある。
だって大陸は広く、国も必然的に多い。
そんな中でこのルビー王国には、魔女が3人もいる訳だし。
「それは考えたこと、なかったなあ」
「まあ、そもそも他の魔女の動向なんて普通調べないですし。
そもそも、お互いに戦ったりはしないですから」
「たまたまか…」
それにしては、出来すぎてる気もするけど。
「魔王城はここから遠いんだよね?」
「確か北の果ての大地で、現在接してる国はガルクライ帝国では?」
「そうだね、だから…本当に偶然なんだろうね。
私もあんまり納得は出来てはいないのだけども…」
そうしてうんうん唸りながら、俺たちはサイデルの入場門まで辿り着いた。
入場待ちの列を静かに待っていた俺たち。
そこへ飛び込んできたのは、
「教皇ハイネル様が、この街に巣食う魔女を討伐したらしいぞ!!」
……そんな一報だった。




