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『完結』天使と悪魔の言う通りに…ね?〜力を貰えず異世界へ…だから2人とも、俺に力を貸してくれないと死んじゃうんだけどッッ!?〜  作者: お汁粉パンチ
港湾都市ダイコウ編

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第44話 トドメの瞬間


 ドス黒い色で出来た、露出の激しいドレスを身に纏う彼女。

 跳ね上がった魔力に加えて、彼女の青白い髪を割って生えてきたのは…立派な一本の角。

 あれは紛れもなく、魔女の証。

 そして、


「本気モードか」


 先ほどまでとは比べ物にならないぐらいに強化される状態だ。


「ああ、そうさ。

こっからが本番だ」


 彼女が指でなぞる自身の首元、もうそこに傷は残っていない。

 自己再生の力を得たのか、はたまた変身の際に回復するのか、そこは不明だ。


「俺のは回復し、受けた傷の分力が上がるって感じだったな」


 そんな元憤怒の魔女ステラの補足。

 実は彼女の記憶を覗くまで、知らなかったけど。

 いずれにせよ、気にしすぎてもしょうがない。

 そのうち分かる事だろうから。


「久しぶりに力を解放したんだ。

簡単には倒れないでくれたまえよ、ダン」


 彼女のオーケストラを指揮する様な全身の動き。

 それに反応する様に、武器達がこちらへ切先を向ける。

 持ち主の魔力の影響を受けたのか、黒くコーティングされており…脳内で危険信号がカンカン煩い。


「…やれ」


 彼女が静かに命令を下し、指を刺した先には…俺が。

 黙って指示に従い飛来するのは、無数の武器達。

 そうして第二ラウンドのゴングは鳴った。





 ガキンッッ!!ガキンッッ!!


「はぁ…はぁ…」


「中々粘るじゃないか、この強化された剣爛装甲を前に」


 360度全方位から、容赦なくその武器達は襲いかかってくる。

 より鋭さを…素早さを増して。

 

 こちらには今も握られた1本の剣しかなく、もう肩が動く程に息が上がってしまっている。

 頰を薄く切り裂いた傷は、セフィのほんのりと暖かい光で癒されていく。


「まだ、行けますか?」


 それは、もちろん。

 今は体が疲れているだけ。

 刃を通さないローブのお陰で、深い傷は負っていないし。


「ではトドメといこうじゃない…かっっ!?」


 ガンッッ


「ははっ、それが最後の抵抗かい?」


 瞬間移動でとった彼女の背後。

 繰り出した一文字斬り、それは浮遊する盾の分厚い壁で阻まれた。

 相変わらず彼女はゆっくりとこちらへ振り返り、余裕を…憎たらしささえ覚える笑みを浮かべるのだ。

 剣は届かず、彼女の武器達が動けない俺へ向けられているのも感じられる。

 


 でも、その油断は命取りだ。

 本当の切札は…まだ見せていないんだから。


「ふぅぅ…」


 静かに息を吐き、呼吸を整える。

 盾と擦れ合ったままの剣、それを握りしめる手に全ての力を込め、


「……勝利を」


 風に消えてしまいそうなほど、小さく呟く。

 でも跳ね上がった力は、それに反比例するかの様な湧き立ち。


「なんだその魔力はッッッ!?!?」


 剣を止めていた盾はいとも容易く両断する。

 そして次に現れた幾層も重ねられた盾、それでもこの剣を止める事は出来ない。

 まるで紙か何かの様に切り裂いていき…



「がはッッ…」


 彼女の胸を貫いた。

 

 口から噴き出た血がこちらの体に降り注ぐ。

 生暖かく、あまり気分の良いものでもない。

 肉を貫く感触が、剣越しに伝わってくる。


 そうして静かに剣から手を離すと、そこへ光の粒子が集まり…形を成す。

 現れた…大鎌で、彼女が最後に繰り出してきた武器達を一刀両断にする。

 

「は…ははっ、化けっ…ものだ…な」


 心臓を貫かれ、素人目で見ても長くは持たないヤオ。

 そんな彼女の首へ、冷たい刃を巻き付く様にそっと添える。 

 

「キミもっ…わたしっから全てをッッ…奪うのか…?」


「…ああ」


 彼女の絞り出す様な声で…心があげる悲鳴が言葉となって出てくる。

 それに対して返せる言葉を、俺は持ち合わせていない。

 

「…もういい、やってくれ」


「…分かった」


 あれだけ交わした顔。

 それは最後にはすれ違い、見ることはできない。

 

 大鎌を握る指が震えるが、力を込めなおし…


「…じゃあ」

 

「ああ…」


 一気に振り切る。

 力を失ったその身体は、地へ膝をついた俺へと寄りかかってくるのだった。


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