第41話 新しい仕事?
「下、履いてないじゃないですかっ!?」
彼女がヒートテ◯クを着るのは全然良い。
まあ黒だから下着も透けないし。
…でも、せめて下履いてから呼んでくれないかな!?
確かにドレスはワンピースタイプ。
だから普通に脱いでシャツを着ただけ、そんなだったらこういう格好になるのは想像できたかもしれないけど!
思いっきり白く眩しい太ももと、空色の下着が…
「あぶしっっ」
そんな視界を勢いよく襲ってきた腕が塞いでしまう。
それに情けない声も…。
その仕業は…ステラだ。
彼女が俺の腕を移動させ、視界を塞いできたのだった。
「ごめんごめん、こうしないとバレちゃうだろ?
それによ……つい、な?」
それはちょっと…理不尽じゃないか。
他のもので塞ごうとすると彼女にバレるから、俺の体を使ったというのはわかるけども…。
このままだと魔女と戦う前に俺が力尽きてそうなんだけど!
…まあ、何故か怒りっぽい3人は置いておいて…
「え〜…!」
とりあえず、
「あの…せめて下履いて貰えませんか?」
俺は目を腕で隠しながら横へ向き、彼女へ告げる。
「…すまないね、こんな体を見せてしまって。
すぐに着るから待ってk…」
「いや、綺麗な体だったと思います…ぃてっ」
「何言ってるんですか!流石に怒られますよ!」
セフィのチョップは容赦なく、後頭部を襲う。
……痛い、今ので何かの記憶が飛んでいった気もする。
でも流石に許して欲しい。
なんか彼女の声色は少し悲しそうだったし。
セクハラで訴えられたら…一旦逃げよう。
「じゃあ…もし私の体に値段をつけるとしたら幾ら出す?」
…なんで乗ってきてるのさ。
ヤオの顔は腕で隠しているから見ることは出来ないけども、こちらの想像の中ではイタズラっぽい笑みを浮かべているだろう。
「あ〜…金貨1000枚ぐらいですかね?」
いや、流石に数字で出さない方が良かった?
貴方の体に値段をつけることは出来ません…って方が、良かった気も…
「ははっ、そんなに出してくれるのか!
金貨1000枚、竜王祭の優勝者賞金と同じぐらいも出してくれるのか?」
…あっ、やべ。
「あちゃ〜、ダンやっちゃってるよ」
「何やってるんですか…」
「ばかじゃん…!!」
散々な言われよう。
でも言っといてアレだけど、ちょっと後悔してる…。
確かに綺麗だったけども、今そんなにお金は持ってないのだ。
もし3分の一とか請求されたら……終わりだ。
「面白いね…キミ」
そう言いながら、彼女がぺたんぺたんと足音を鳴らしながら近づいてくるのが分かる。
もしかして、本当に怒らせてしまっただろうか。
恐る恐る目を隠していた腕を下ろすと、もう彼女は目の前だ。
そうしてこちらへ伸ばされる手。
その指先はこちらの首を撫でながら上がっていき、俺の顎へと手が当てられクイっと持ち上げられる。
これは……顎クイ?
「確かにこのシャツも魅力的な品だ。
でも私は…キミにも興味が湧いてきたよ」
「知ってるかい?
カルナーク商会会長のヤオは…欲しいものは今まで、全て手に入れてきたんだ。
興味を持ったものも全て…ね?」
やらかした…なんてものじゃない。
彼女の妖艶な表情から溢れ出る笑み、その声のトーンを聞けば何が起こったのかぐらい鈍い俺でも分かってしまう。
ゲーム脳の俺の中では、彼女からの好感度が上がったことを示す音が鳴る。
もうこんな状況では…口元を引き攣らせながら笑うしかなかった。
そうして気に入られた俺は、カルナーク商会…というかヤオ個人に雇われることとなった。
ちなみに仕事内容としては荒事や雑用というのではなく、
「東の果ての異国で使われてる民族衣装だそうだ。
どうだろうか?」
「とてもお似合いです、ヤオ様。
真紅の生地、それは貴方様の情熱的な探究心を表している様です」
チャイナドレスみたいな服を着た彼女を褒めたり、
「これはある山奥でしか栽培されていない品種を使った紅茶だそうだ。
一緒に飲んでくれるかい?」
「もちろんです、ヤオ様。
お供させていただきます」
そんな彼女と茶会をしたりというものだ。
…言ってしまえば、ただの太鼓持ちである。
衣食住付き、彼女の屋敷に住み込みで。
彼女が会長を務める商会は大きなもので、仕事も勿論多い。
きっと彼女しか対応したりサインできない案件も多いだろう。
そんな訳で昼間の彼女は忙しそうにしているけども、日が暮れると絶対にこちらの部屋へ顔を出す。
そうして、こういったやり取りをするのだ。
分からないけども2人きりで話している時、彼女の顔から笑顔が絶えることは無い。
だから楽しんでくれているのは事実だろう。
俺も…血みどろな戦いよりはいい、かな?




