第6奏パート2:雷鳴の中で、ふたりがみたもの(1話目)
金属同士がぶつかり、削れ合う音が響いた。
耳を裂くような不協和音が、荒れ狂う戦場の空気をさらに張り詰めさせていく。
まばゆい光が虚空を裂く。
天空には、太陽を幾重にも重ねたような輝きが生まれていた。
炎は柱となって立ちのぼり、大地は震え、風は熱を孕んで荒れ狂う。
何かに掴まっていなければ、その中心へ、その渦の中へ吸い込まれていただろう。
一撃の余波だけで、大地は黒く焼け焦げていた。
黒い雨を思わせる影が降り注ぎ、バーチャル戦士たちは穢れた波に呑まれるように崩れていく。
その凄まじさに、両陣営とも動けなかった。
誰も加勢できない。
いや、してはいけないと本能が悟っていた。
そこにいたのは、ただ2人だけ。
『次で決めるよ、湊くん』
「うん――翼くん」
互いに息を切らし、額から汗を流している。
それなのに、不思議とその顔には焦りも怒りもなかった。
ただ、楽しそうだった。
ただ、晴れやかだった。
極限のはずなのに、そこだけは静かで、澄んでいた。
銀髪の浅黒い少年が、三歩後ろへ軽やかに跳んだ。
距離を取ると同時に、高く宙へ舞い上がる。
自身の身体よりも大きな槍を構え、その切っ先を真っ直ぐ黒髪の少年へ向けた。
迎え撃つように、黒髪の少年は弓を引いた。
少しだけ癖のある髪が、熱風に揺れる。
空は槍に呼応するように雷鳴を轟かせ、稲妻を大地へ落とした。
大地は震え、草木が波立つ。
焦げた熱の匂いの奥で、草の根の青い香りだけがなお濃く残っていた。
少年は深く息を吐く。
それは狙いを定めるためというより、最後の決断を自身に刻むための呼吸に見えた。
その瞬間、足元から金色の雫が湧き立った。
足から胸へ、腕へ、頭へ。
祝福のように、あるいは覚悟そのもののように、光が彼を包み込んでいく。
力強く引かれた弦は、少しでも均衡を誤れば千切れてしまいそうな緊張を孕んでいた。
上空の少年もまた、右手に渾身の一撃を宿していた。
そして、その神々しい光を躊躇なく投げ放つ。
『ピトゥル・デーヴァダッタム・ヴァジュラム・ムンチャーミ!!』
それはまるで、麒麟が穿つ雷鳴のような投擲だった。
迎え撃つ少年は、片膝を大地につける。
大地の祝福を余さず受け取るように、身体を深く沈めた。
「戒めを手に残せ、言葉は矢の先に、葬送より秩序をもたらさん――天之波波矢<アメハハヤ>」
二つの神威が、ただ一人を討つためではなく、
ただ1人に届くために放たれる。
あれは、ただの討伐戦ではなかった。
モニター越しにその光景を見ていた者たちは、後に口を揃えて語ることになる。
あの日、あの瞬間だけは――
少年たちの友情が、神話の形をしていたのだと。




