十二話
「それで?あんたはそんな胡散臭い物のために命を捨てようっていうの?馬鹿なのかしら?」
「なんだとぉーあの先輩の占いは当たるって評判らしいし、たかが階層ボスだろう」
「そのですね御仏様、感覚が麻痺されてるのかもしれませんが階層ボスというのは単位の代わりになるぐらいには価値の大きいものですし怪我ですまない可能性があるから危険なんですよ?」
二人に報告したら案の定ろくでもない反応をされてしまった、むぅやはり唐突すぎたか。確かに危険だが合同パーティーで挑める数少ない機会なのに、しかもブラッドリッチーは序盤の中ボスである。序盤で中ボスというのも変だがさっさと倒しておく対象なのは確かだ、今後のことを考えると。
「今回は助っ人も用意してある、了解はまだ得てないが五人での合同クエストだ。万一の切り札も用意してあるあるし、安心だろう?」
どこが安心なんだとという視線を二人から更に向けられてしまった、これはあまりよろしくないかもしれない。俺は前世の知識とこの世界で得た2つのチートを前提にして語っているが二人は少々特別なだけでやはり一般人である。とはいえ少なくともルナを助けてその先の脅威を乗り越えるまでさらに言えば墓場にまで持っていきたい秘密ではあるのだが、例えその断片を見せてしまっているとしても。
「はぁ~あっきれた。で、どのクエストなのかはわかっているわけ?」
「おお、フロアボスブラッドリッチーを撃破せよ、だな。コアを破壊しない限り定期的に復活するタイプで教材として残されているタイプだな、一年生で挑むには確かに強敵だが……俺達ならやれる!」
「あんたのその無駄な自信はどころから出てくるのかしらね、呆れるわ。でもいいわ、そこまでいうなら挑んでやろうじゃない」
「レイラさん……では、ルナも頑張らないといけないといけませんね!御仏様、頑張りましょう!」
「なぁ、レイラは名前なのに俺はどうして名字なんだ?名前で呼んでくれてもいいんだぜ?」
「御仏様だってそんな恐れ多いこと、でも許してくださるなら……し、真也様」
「あーはいはいごちそうさま。それで合同クエストなんて酔狂に付き合おうなんて馬鹿はどこのどいつ?」
パタパタとわざとらしく手を仰ぐレイラを後目に悶ているルナ、そもそもさり気なく名前で読んでもレイラには拒否されなかったしルナに関しては最初からそうだ。女性の名前を気軽に呼ぶ等前世ではそうないことだったがこれも現世のこの体に引きづられているのかもしれない、人格の融合と言ってもいい。俺というパーソナルな部分はゲームに関する知識や前世との価値観やらの最低限以外は思い出せなくなりつつあるのでそういうものなのだろう、中途半端に乗っ取るという形よりはまだマシだと思いたい。
「未来に関しては言わずもがなだがその友人の炎堂茜も来てくれるかもしれないそうだ、この間あったきりだけど覚えているか?」
「ああ、あの二人ね。フロアボス相手に大丈夫なのかしらね。それにあんたの例の切り札、あまり他人に知られたくないんでしょう?」
原作では色々と因縁深い相手であっても俺達というイレギュラーなパーティーという状態と含めてせいぜいが顔見知りというレベルでは信頼できないというのもわかる、俺自身前世でのことがあってこそで占いで命をかけるという行為を普通だったらやらないだろうとは思う一面もないではない。しかしここは多少無理をしてでも押したいところだ、フロアボスを倒すというクエストが出てたのはいい機会だ。
「まぁ、な。けどいつまでも隠していてもな学生でダンジョンに潜っていればバレることもあるだろうし覚悟はしているさ」
「真也様……」
「なーに禁忌に手を出してるわけじゃねーんだ、安心してくれ。それよかクエストだクエスト、回復薬を買い込んだり使い捨てのスクロールがあればできればほしいところだな」
「ほんんんんっと馬鹿ね、いいわ。庶民じゃ手が届かないようなアイテムは私がお金を出して用意しておいてあげるからあんたもトチるんじゃないわよ?ルナ、こいつの手綱を握ってくれるかしら」
「手綱を握るだなんて、いえ無茶を嗜める程度のことはさせていただきます」
「おいおいそりゃひどいぜ、俺がまるで無理無茶無謀みたいな言い方をしてくれてさあ」
二人からはすっかりそういう認識で固まってしまったらしい、俺がやばりおかしいのだろうか。二人の実力を含めて決して命の危険があるというようなレベルではないのだが……信頼というものはやはり確実に地道に積んでいくしかないということか。
◆◇◆◇◆
数日後、許可を取れた未来達二人と無事合流に成功し、クエストを受注した。新入生が受注するということでかなり心配されたが、大丈夫と押し切ったが非常時にボスやダンジョンから強制的に脱出できる野球ボールぐらいの結晶状のアイテム(ただしクエストは失敗扱いになる)を渡され絶対に無理をしないようにと受け付けてくれた事務員の人に念押しされた。
「真也君、こう言ったら何だけどよくあの二人を説得できたね」
「そこは俺の人徳だが、といいたいところだがゴリ押し半分情け半分だな。俺なら俺達なら出来るってさ」
「あはは、そいつは凄いや。僕はあんた一人じゃ頼りないから仕方なく~なんて言われちゃったよ」
炎堂茜はメインヒロインにして主人公である未来の幼馴染である、よほどトチらなければ安定してルートに入れるし固有スキルの関係で殴りヒーラーと化していくので結構重宝する存在である。いざ実戦となれば中々そう都合良くはいくまいが期待している戦力の一人ではある。
「お互い誘える奴がいてよかったな、これで二人で挑むなんてことになったら流石に中止するところだったぜ」
「まったくだよ、あはは」
目の前にいる未来だがどうやらスタンダードなナイトを選んでくれたらしい。どの職業でも勇者へとクラスチェンジ出来ないわけではないが前衛職以外を選ぶとヒロイン頼りになるのでそれは個人的に避けてほしいところだった。さりとてそんなところから介入出来る余地もなかったので祈るしかなかったわけだ、それも結果的には成功したと言えるだろう。あくまで第一段階はだが、次はこうして時々組んで経験を積んで貰い俺達は勿論未来と茜の二人のレベルを上げて来るべき時に備えることが当面の目標なのだから。




