第十一話 穏やかな陽光
かなり短いです。
調整を間違えましたね、すみません。
一応第二章最終話です。
幕間をあげるのには少し遅れるかもしれません。
「柊さん、どうしたんですか?」
先ほどまで、子供たちと楽しそうに遊んでいたアイシャが、僕のところまで歩み寄ってきた。
「いや、うん、皆、楽しそうだなと思って」
溢れんばかりの笑顔。
そこには、孤児ならではの悲しみや絶望なんてない。
年相応の子供たちと何も変わらない。
「そうですね。私たちも皆が楽しそうにしてくれているんで、すっごく幸せなんです」
そう言った彼女は、本当に幸せそうな笑顔を浮かべている。
「本当に、アイシャさんはすごいね。年上の僕の方が、見習わないといけないところが多いよ」
「そんなことなにですよ。私なんてぜんぜんです。すごいのはミィーナなんですよ。本当に彼女は、太陽みたいで、皆に勇気と笑顔をくれるんです」
そう言われた彼女は、子供たちに囲まれ、太陽のような笑顔を浮かべている。
「確かに、ミィーナさんもすごいと思うよ。でも、それとアイシャさんがすごいというのは別問題だよ。素直に尊敬しているし、見習わないといけないな、そう思うよ」
「も、もう、からかわないでください」
照れているのだろう、彼女は顔をそらす。
前もそうだけど、普段冷静な表情をしているけど、意外とほめ言葉には弱い照れ屋さんみたいだ。
「冗談じゃないんだけど、まあ、うん、どう受け取るかは、アイシャさんに任せるよ」
本当は掛け値なしにほめ言葉だ、と言いたいけれど、彼女の性格からすると頷いてくれそうもないから、そう言うしかないだろう。
「柊さんって、意外と女たらしですか?」
「いや、違うよ。ていうか、なんでそういう発想になるんだい?」
「なんとなく、です。すごく甘いというか優しい言葉ばかりを言いますんで」
「甘いって」
思わず苦笑する。
そんなつもりで言った言葉でもなければ、特別甘い言葉でもないと思う。
ただ、まあ、受け止めるのが苦しくなるのような言葉を言わないように気をつけているだけだ。
「まあ、女たらしかどうかは分からないけれど、基本的に女の子には、よほどの理由がない限り優しくしようと思って、接しているからね」
基本的に女の子を敵に回すとややこしいことになりかねないから、というのが主な理由なんだけど。
「モテるんじゃないですか?」
「それが、ぜんぜん。まあ、優しいだけの男じゃ物足りないんじゃないかな」
どんなにいいところまでいっても、せいぜいいいお友達レベルまでだ。
まあ、僕自身が深く踏み込ませるようなことをしていなかったのもあるんだけど。
後は、イケメンじゃないところぐらいだろうか。
「私は、素敵だな、て思いますよ」
「ありがとう」
慰めだけでも、そう言ってくれると嬉しいものだ。
しかも、それが彼女のような超がつくような美少女ならなおさらだ。
「もちろん、慰めでも社交辞令でもないですからね」
「え?」
「ふふ」
彼女は楽しそうに笑う。
何がそんなにおかしいのか、僕にはちょっと分からないが、それでもまあ彼女が楽しそうなら、それでいい。
「もう、二人してラブラブ全開っぷりを見せなくてもいいのに。子供たちの教育に悪い影響が出たらどうするつもりなのかな?」
「うわっ!」
「きゃっ」
突然の声に驚き、二人揃って声を上げる。
振り返れば、そこには、先ほどもまで楽しそうに、子供たちと遊んでいたミィーナの姿があった。
「そんなに驚かなくてもいいじゃない。それとも、私のことが分からなくなるほど、二人の世界に入っちゃってたのかな?」
「そ、そんなんじゃないわよ」
意地悪く笑ってそういうミィーナにアイシャは慌てて弁解している。
なんだか、すっかりお馴染になった光景だ。
本来なら、僕もまた慌てて弁解すべき当事者なんだけど、そんな二人のやりとりを見ているとほほえましく思えて、そんな気なんて起きない。
まあ、美少女のアイシャとラブラブ、と言われて悪い気がしないからもであるが。
「もう、柊さんも笑っていないで、ちゃんと否定してくださいよ」
「否定なんてできないよね。だって、二人はラブラブなんだから」
「アイシャ!!」
「あははは」
「なんで、柊さんが笑うんですか」
アイシャは、もう怒り心頭といった感じだ。
でも、彼女には悪いが、どうしても笑いたくなってしまう。
だって、それはどうしようもないのだ。
今、こうして過ごしている時間がひどく幸せで、どうやったって笑みがこぼれてくるのだ。
彼女には悪いけれど、もう少しだけ笑わせて欲しい。
今の自分が幸せだということを、噛みしめるためにも。




