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悪の剣  作者: Dai


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第26話 白虎(後編)

回想――江戸時代

かつて。

影虎と白虎は、同じ組織で剣を振るっていた。

幾度も背中を預け合い、数々の修羅場を越えてきた。

互いに認め合う、最強の剣士だった。

しかし。

白虎は次第に変わっていく。

盗人一人を追えば。

「命乞いか。つまらん。」

盗人を斬る。

その隣で震えていた仲間まで斬る。

村で争いが起これば。

「目撃者は不要だ。」

女も。

老人も。

子どもも。

容赦なく刀を振るった。

影虎が止める。

「やめろ!」

白虎は血に濡れた刀を見つめ、笑う。

「人を斬る。」

「これほど心が満たされるものはない。」

その狂気は日に日に増していった。

任務のためではない。

正義のためでもない。

人を斬ること、そのものが目的になっていた。

やがて幕府すら白虎を制御できなくなる。

「あいつはもう誰にも止められん……。」

噂は瞬く間に広がった。

"人斬り白虎"

幕府すら手を焼く怪物。

その名は恐怖の象徴となっていた。

しかし、一人だけ白虎を止められる男がいた。

影虎。

山奥。

二人の剣士が向かい合う。

激しい斬り合い。

何十合。

何百合。

互いに血を流しながらも止まらない。

最後。

影虎の一太刀が白虎の利き腕を深く斬る。

骨を断ち。

筋を裂く。

白虎が膝をつく。

「……殺せ。」

影虎は刀を向ける。

しかし。

静かに刀を納めた。

「もう二度と刀は握れぬ。」

「剣士としてのお前は死んだ。」

「二度と姿を見せるな。」

影虎は背を向けて歩き出す。

白虎は地面を殴る。

「……影虎ァァァ!!」

現代

白虎の姿が消える。

「……!」

「速い!」

キィン!!

政宗は間一髪でかわす。

しかし。

木刀では刀を受け止められない。

避け続けるしかない。

白虎が笑う。

「どうした影虎!」

「避けてばかりでは俺は止められぬぞ!」

政宗は無言。

攻撃を見極める。

(隙は……一瞬。)

踏み込む。

渾身の突き。

しかし。

ガキッ!!

白虎は木刀を歯で噛み止めた。

「なっ……!」

首を振る。

木刀が弾き飛ぶ。

その瞬間。

ドスッ!!

刀が政宗の肩を貫く。

そのまま背後の壁へ突き刺さる。

政宗は身動きが取れない。

白虎は笑う。

「終わりだ。」

しかし刀を引かない。

「興醒めだ。」

「今のお前に勝ったところで何も嬉しくない。」

「影虎。」

「貴様は弱くなった。」

政宗は歯を食いしばる。

写真を投げる。

ヒラヒラと舞う。

ユウキ。

家族。

自宅。

政宗の目が見開く。

「監視カメラに映っていた小僧だ。」

「部下に調べさせた。」

「影虎として来ぬのなら。」

「まずはこの小僧。」

「次は家族。」

「皆殺しだ。」

政宗の表情が変わる。

「貴様……!」

白虎は笑う。

「一週間後。」

地図を投げる。

「黒影社本部だ。」

「そこで決着をつけよう。」

「お前はいずれ刀を持ち。」

「影虎として俺の前へ現れる。」

「楽しみに待っているぞ。」

白虎は闇へ消える。

政宗は壁にもたれながら拳を握る。

「……今のままでは。」

「勝てない。」

「政宗としてでは……。」

血が静かに地面へ落ちる。

ユウキの笑顔が脳裏に浮かぶ。

「守るためには……。」

政宗はゆっくりと目を閉じた。

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