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悪の剣  作者: Dai


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第16話 嘘の代償(前編)

朝。

教室はいつも以上に騒がしかった。

「見た?」

「リナの動画、昨日も100万回再生だって。」

「すげぇ……。」

教室の中心では、一人の女子生徒がスマホを向けていた。

リナ。

動画投稿で有名な高校生。

フォロワーは数十万人。

「みんな、おはよー!」

笑顔で手を振る。

クラスメイトも映り込む。

「やめてよ。」

「大丈夫、大丈夫。」

笑って撮影を続ける。

先生が教室へ入ってくる。

「ホームルームを始める。」

だがリナは撮影を止めない。

「先生も映っちゃったー。」

教室には笑い声。

担任の佐藤先生は静かに言った。

「リナ。」

「放課後、少し話そう。」

放課後。

職員室。

「授業中の撮影は禁止だ。」

「他の生徒も映っている。」

「嫌がっている子もいる。」

リナはスマホをいじりながら答えた。

「はーい。」

「気をつけまーす。」

返事だけは軽い。

先生はため息をつく。

「これは君だけの問題じゃない。」

「学校全体の信用にも関わる。」

リナは無言のまま部屋を出た。

廊下。

「偉そう。」

小さくつぶやく。

その夜。

一本の動画が投稿された。

リナは涙を流している。

「今日……先生に個室へ呼ばれました。」

少し黙る。

「すごく怖かった。」

それ以上は言わない。

しかし。

コメント欄は一瞬で荒れた。

『最低。』

『学校は説明しろ。』

『教師の名前は?』

『拡散しよう。』

再生数は伸び続ける。

翌朝。

学校には電話が鳴り止まなかった。

「教師を辞めさせろ!」

「説明しろ!」

校長は対応に追われる。

佐藤先生は困惑していた。

「私は注意しただけなんですが……。」

誰も何が本当なのか分からない。

昼休み。

ユウキはスマホを見つめる。

「先生、本当に悪い人なのかな……。」

友達が言う。

「分かんない。」

「でもネットじゃ先生が悪いって言われてる。」

ユウキは納得できなかった。

「証拠もないのに……。」

放課後。

橋の下。

ユウキは政宗に話した。

「本当かどうか分からないのに、みんな先生を悪者にしてる。」

政宗は静かに川を見つめる。

「戦でもあった。」

「流言一つで、人は罪人になる。」

ユウキは驚く。

「昔も?」

「ああ。」

「噂は刀より速く、人を斬る。」

しばらく沈黙が流れる。

政宗は立ち上がった。

「真実を見に行く。」

「え?」

「噂ではなく、人を見る。」

政宗は静かに歩き出す。

その目はいつものように鋭かった。

その頃。

リナは新しい動画を撮っていた。

「みんな、応援ありがとう。」

笑顔だった。

しかしコメントの数はさらに増え続けていく。

その笑顔を、政宗は遠くから静かに見つめていた――。

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