第14話 見えない刃(前編)
朝。
教室に入ったユウキは違和感を覚えた。
クラスメイトのミサキが席にいない。
「また休みか……」
先生も少し困った表情だった。
「体調不良だそうです。」
しかし、教室の後ろでは数人の男子が笑っていた。
「また休んだって。」
「メンタル弱すぎ。」
ユウキは嫌な気持ちになる。
昼休み。
ユウキは友達に聞く。
「ミサキって何かあったの?」
「あいつ、この前いじめのことを先生に相談したんだ。」
「え?」
「そのせいで、先生が犯人を注意したんだけど……。」
「逆恨みされた。」
「今度はSNSで悪口を書かれまくってる。」
ユウキはスマホを見る。
匿名アカウント。
『裏切り者』
『チクリ魔』
『学校来るな』
『消えろ』
『陰キャが調子乗んな』
胸が苦しくなる。
放課後。
橋の下。
ユウキは政宗に話す。
「先生に相談しただけなのに……。」
政宗は静かに目を閉じる。
「正しき者が責められるのか。」
「今の世は……歪んでいるな。」
翌日。
学校帰り。
ユウキは偶然、公園で男子たちの会話を聞いてしまう。
「今日も投稿しようぜ。」
「泣いてるらしいぞ。」
「学校辞めたら笑えるな。」
その時。
少し離れた場所で政宗も、その会話を聞いていた。
男子たちは美咲の写真を見ながら笑っている。
政宗はゆっくり近づく。
「楽しそうだな。」
男子たちは振り向く。
「誰?」
黒いスーツ。
腰には一本の木刀。
政宗は静かに言う。
「弱き者を大勢で傷つける。」
「それほど楽しいか。」
男子の一人が鼻で笑う。
「関係ねぇだろ、おっさん。」
「ネットに何書こうが俺らの自由だ。」
政宗は一歩だけ近づく。
「自由とは、責任を負う者だけが口にできる言葉だ。」
空気が変わる。
男子たちは思わず息をのむ。
「今日は忠告だけだ。」
「二度と、その娘を傷つけるな。」
そう言い残し、政宗は去っていく。
男子たちは黙っていた。
だが数秒後。
「なんだったんだ、あいつ。」
「ビビるわけねぇじゃん。」
「今日の夜も書き込もうぜ。」
再び笑い声が響く。
その様子を、少し離れた場所で政宗は静かに見ていた。
その目には、わずかな怒りが宿っていた。




