番外編 その後
◼️第一話「老人ホーム」
老人ホーム。
以前助けた老人たちが談笑している。
そこへ面会に来たユウキ。
老人 「最近はよく眠れるんだ。」
老人 「飯も前よりうまい。」
ユウキ 「……そっか。」
老人ホームを出た帰り道。
ユウキ 「みんな元気そうだったな。」
政宗 「うむ。」
ユウキ 「行かなくてよかったの?」
政宗 「元気ならそれでよい。」
◼️第二話「笑顔」
放課後。
教室の窓から夕日が差し込んでいた。
ユウキはふと前を見る。
ミオがいた。
以前のように俯いてはいない。
友達と話しながら笑っている。
小さな笑顔だった。
それでも確かに笑っていた。
帰り道。
橋の下へ向かう。
そこにはいつものように政宗が座っていた。
ユウキ 「なあ、政宗。」
政宗 「何だ。」
ユウキ 「ミオ、笑ってた。」
政宗は川を見る。
政宗 「そうか。」
ユウキ 「それだけ?」
政宗 「それで十分だ。」
少し沈黙。
ユウキ 「母親と別の場所で暮らしてるらしい。」
政宗 「うむ。」
ユウキ 「もう殴られなくて済むって。」
風が吹く。
川面が揺れる。
政宗 「ならば終わった話だ。」
ユウキ 「冷たいな。」
政宗 「違う。」
政宗は空を見る。
政宗 「笑って生きられるなら、それでよい。」
ユウキは少し驚く。
こういう時の政宗は、いつも少しだけ優しい。
その時。
遠くから声が聞こえた。
「ユウキくんー!」
振り返る。
ミオだった。
友達と一緒に手を振っている。
ユウキ 「お、おう!」
ミオ 「この前はありがと!」
そう言って笑う。
本当に普通の高校生みたいに。
ユウキは照れくさそうに手を振り返した。
振り向く。
政宗はもう川を見ていた。
ユウキ 「聞こえた?」
政宗 「聞こえぬ。」
ユウキ 「絶対聞こえただろ。」
政宗 「聞こえぬ。」
ユウキ 「またそれか。」
ユウキ「この前はありがとの意味、聞かないの?」
政宗「興味ない」
ユウキ「やっぱり冷たいな。」
政宗「違う。」
ユウキ「何が違うんだよ。」
政宗「笑っている。」
ユウキは少しだけ黙った。
政宗の口元がほんの少しだけ緩む。
橋の下には、今日も穏やかな風が吹いていた。
あの日にはなかった笑顔が、そこにはあった。




