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悪の剣  作者: Dai


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番外編 侍と少年

◼️第一話 「洗濯」

ユウキ 「政宗ってさ、その服ずっと同じじゃない?」

政宗 「む?」

ユウキ 「洗ってる?」

政宗 「洗っている。」

翌日。

ユウキが橋の下へ向かう。

すると――

川辺に見慣れたスーツが干されていた。

ジャケット。

ズボン。

ワイシャツ。

近くには木刀。

そして川の中では――

全身包帯姿の政宗がスーツを洗っていた。

ゴシゴシ。

ゴシゴシ。

真剣な顔で袖を洗う。

ユウキ 「何してんの!?」

政宗 「見れば分かる。」

ゴシゴシ。

政宗 「洗濯だ。」

ユウキ 「いや格好!!」

政宗 「何か問題でもあるか。」

ユウキ 「包帯しか着てねえじゃん!!」

政宗は首を傾げる。

政宗 「問題あるか。」

ユウキ 「通報されるわ!!」

政宗 「なぜだ。」

ユウキ 「怪しすぎるだろ!!」

政宗 「顔も隠れている。」

ユウキ「余計怪しいんだよ!!」

政宗「そうなのか。」

ユウキ 「クリーニング出せよ!!」

政宗 「くりいにんぐとは何だ。」

ユウキ 「服を綺麗にしてくれる店!」

政宗 「店が洗うのか?」

ユウキ 「そうだよ!」

政宗 「妙な時代だな。」

その時。

近所を散歩していた犬が、岩の上に干してあったズボンをくわえた。

政宗 「あ。」

ユウキ 「あーーーーーー!!」

犬は楽しそうに全力疾走。

政宗 「待て。」

政宗も全力疾走。

包帯姿のまま。

ユウキ 「やめろおおおお!!」

政宗 「服を盗む犬の方が悪であろう!!」

ユウキ 「お前も十分ヤバいんだよ!!」

河川敷に響く犬の鳴き声。

追いかける包帯男。

追いかける高校生。

遠くで散歩中のおばあさんが呟いた。

「最近は変わったマラソン大会があるんだねぇ。」

ユウキ 「ねぇよ!!」


◼️第二話 「侍、働く」

ユウキ 「政宗、お金ないんでしょ?」

政宗 「無いな。」

ユウキ 「なんでそんな平然としてるの?」

政宗 「腹が減れば水を飲む。」

ユウキ 「ダメだこの人。」

翌日。

ユウキは半ば強引に政宗を日雇いの現場へ連れていく。

現場監督 「荷物運びできる?」

政宗 「荷を運べばよいのだな。」

数時間後。

作業員A 「おいおい、あのスーツの兄ちゃん何者だよ……」

作業員B 「一人で冷蔵庫運んでったぞ……」

作業員C 「三人分働いてる……」

昼休み。

現場監督 「君、明日も来ない?」

政宗 「断る。」

監督 「え?」

政宗 「修行ではないのだろう?」

帰り道。

ユウキ 「ほら、給料。」

政宗 「ほう。」

ユウキ 「どう?」

政宗 「荷を運んだだけで銭が貰える。」

政宗はしばらく考えた。

「良い時代だな。」

ユウキ 「今さら!?」

――それ以来、政宗はたまに働きに行っているとか、いないとか。


◼️第三話 「コンビニ」

ユウキ 「コンビニ寄る?」

政宗 「興味はない。」

5分後。

コンビニ店内。

政宗 「今日はあの肉まんは無いのか。」

ユウキ 「めっちゃ気に入ってるじゃん!」

政宗 「違う。」

ユウキ 「絶対好きじゃん!」

政宗 「敵情視察だ。」

ユウキ 「肉まんの?」

政宗 「うむ。」

数日後。

ユウキ 「またコンビニ?」

政宗 「違う。」

ユウキ 「じゃあなんで入るんだよ。」

政宗 「敵情視察だ。」

ユウキ 「まだ言うのか、それ。」

二人が店に入る。

すると店員が政宗を見るなり、

店員 「いらっしゃいませ。」

政宗 「……。」

店員 「肉まん一つですね。」

沈黙。

ユウキ 「常連じゃねえか!!」

政宗 「違う。」

ユウキ 「何が違うんだよ!」

政宗 「敵情視察だ。」

店員 「本日も肉まんでよろしいですか?」

政宗 「うむ。」

ユウキ 「認めろよ!!!」


◼️第四話 「自販機」

ユウキ 「政宗、自販機使えるようになった?」

政宗 「馬鹿にするな。」

ユウキ 「じゃあ使ってみろよ。」

政宗

無言で自販機へ向かう。

百円玉を入れる。

ポチ。

ガコン。

缶コーヒーが出てくる。

ユウキ 「おお。」

政宗 「簡単だ。」

ユウキ 「もう現代人じゃん。」

政宗 「違う。」

ユウキ 「何が違うんだよ。」

政宗 「ただの箱だ。」

ユウキ 「自販機だからな。」

その時。

政宗が別のボタンを押す。

ガコン。

温かいお茶が出てくる。

ユウキ 「また買った。」

政宗 「確認だ。」

ユウキ 「何の?」

政宗 「本当に出るのか。」

ユウキ 「さっき出ただろ!!」

政宗 「念のためだ。」

ユウキ 「絶対気に入ってるだろ!」

政宗 「違う。」

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