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07:おわりに~エマ・ジレが”花麗国”にもたらしたもの~

 ”花麗国”は新しい王政になり、二度目の冬を迎えることとなった。

 偉大なるヴァイオレット王太后の後ろ盾もあり、新国王の治世は徐々に”花麗国”に受け入れられてきた。経済はまだ疲弊していたが、同盟国からの援助とベルトカーン王国からの賠償金もあり、明るい兆しを見せていた。

 国王自身も倹約に努めていたが、ヴァイオレット王太后は街や村の祭りを再開することを推奨し、補助金を出した。

 エマはヴァイオレットこそ、綺麗なドレスを着て、華やかな王宮で踊りたいのだろうと微笑んだ。単に、自分の欲求を押し通す為の踏み台にするつもりなのだろうが、歌や音楽、踊りは、花と同じく人の心を明るくする。前向きにも出来る。やっぱりヴァイオレットのやることには、どこかそつがない。

 王都でも祭りの準備で、人々の気持ちが浮き立つのが分かった。

 ベルトカーン軍の撤退以降、ベルトカーン系住民への迫害もあり、分け隔てなく子どもたちの面倒を見ているエマの孤児院にも嫌がらせをされたこともあったが、そんな無益なことに没頭するよりは、歌って踊った方が楽しいと人々は思い出すだろう。


 エマの住む界隈でも、小さな舞踏会を開くことになった。舞踏会、と言うほどのものですらない。小さな秋の収穫祭だ。

 それでも音楽はあって、子どもたちが覚束ない足取りでダンスを踊るのは微笑ましかった。夜ともなれば、即席のランタンが掲げられ、辺りを照らした。

 何人のも若い男がエマを踊りに誘う。その全てを彼女は断った。

  

 エマ・ジレは誰とも踊らない。

 エマ・ジレは誰に対しても平等だから、踊るのならば、全員と踊らなければならないだろう。

 それでは朝になってもエマ・ジレは踊り続けなければならない。

 どれだけ多くの若者が、エマ・ジレと踊りたがっているだろうか。

 たとえ国王さまでも、エマ・ジレと踊ることは出来ない。


 皆、微笑むエマを見て、そう噂した。

 男たちは懲りずに何度も申し込みに行く。

 

 そんなエマと男たちの攻防を、一人の青年が遠くから見ていた。

 彼もまた、彼女と踊りたい男の一人だった。

 なのに申し出をすることも出来ず、ただ見つめることしか出来ないとは――「情けない」。

 もう帰ろう。ここにいても仕方がないじゃないか。

 彼がその場を立ち去ろうとすると、思いもかけず近くまでエマが来ていた。駆け寄ってきたのだ。


「あの……」


 マクシミリアンさまと呼ぶべきか、陛下と呼ぶべきか、迷っているのが分かる。


「お久しぶりです。マクシミリアンです」


 そう久しぶりでもないが、改まって言うと、エマはほっとした顔になった。


「こんばんは、マクシミリアンさま」


 明かりはあっても夜であり、即位の時とは違う簡素な衣服を身に着けていることから、彼をマクシミリアン国王と分かる人間はいなかったが、エマは遠目で彼をそうと見抜いた。

 彼女に言わせれば、立ち姿だけで彼と分かる。佇まいが他の人と違う。知らない内に視線が向いている。

 とにかく大勢の中にいても、彼女はマクシミリアンがどこに居るのか、見つけてしまうのだ。

 それは彼女にとって彼が――。


「――あなたは踊らないのですか?」


 マクシミリアンは、先ほどからずっと見ていました、と言い掛けて止めた。ずっと見られていたと知ったら、気色悪がられるだろう。ベルトカーン国王と同じだ。


「マクシミリアンさまこそ……」


「踊る相手がいなくて……」


 この場にヴァイオレットがいたら、後ろからマクシミリアンをエマに向かって蹴とばしたに違いない。

 もどかしい二人は、しかし、彼らなりに必死で自分の気持ちと相手の気持ちを添わせようとしはじめた。


「そうですか……あの、もしよろしければ……本当に、マクシミリアンさまこそ良ければですが、私にお相手させては下さいませんか?

折角、この街の舞踏会に来て頂いたのに、踊りも踊らず帰るなんて……いけませんわ……」


「あなたは誰とも踊らないと聞きましたが……」


「そんなこと……」


 口には出していないが、態度は明らかにそうだった。

 エマは頬を染めた。


「折角、ヴァイオレットさまが皆に踊るように言って下さったのに、私こそ、いけませんでしたわね」

 

 そんなことはないと、マクシミリアンはエマを抱きしめたかった。他の男と踊っているのを見たら、嫉妬でどうにかなりそうだった。舞踏会で女性が様々な男と踊るのは普通のことで、いちいち目くじらを立てるのは恥ずかしいことだ。それでも、最初の二回は特別なのだ。その最初の二回をエマはまだ踊っていない。


「どうか私と踊って下さい」


 緊張を押し隠し、実に優雅に誘われたエマは、うっとりするあまり、マクシミリアンの手を取り損ねた。

 あれ、踊ってくれるはずじゃないの? と言い出しそうな男の顔を見て、ようやく動いた。エマの手の温もりを感じたマクシミリアンは、安堵の笑みを漏らした。


 あのエマ・ジレが男と踊っている。

 幸せそうで楽しそうな笑顔で二曲続けて踊るなんて、一体、あの男は誰なのだろうかと注目が集まったが、二人はもう自分たちの世界に没頭してしまって、気が付かない。

 二曲目が終わるのが惜しい。しかも、一度、踊ってしまったら、エマは他の男たちを断れないのではないか。

 マクシミリアンは巧みにエマを誘導して、踊りの輪から外れた。エマも黙って付き従う。

 孤児院の庭先までやって来た。


「久しぶりに踊りました。楽しいものですね」


 マクシミリアンの息が弾んでいるのは、踊りのせいではなかった。心が弾んでいるからで、楽しいのは相手がエマだからだ。

 

「お城では舞踏会はなさらないのですか?」


 貴婦人たちとマクシミリアンが踊るのを想像すると、悲しい気持ちになるのに、エマは尋ねてしまう。

 マクシミリアンはあっさりと答えた。


「そんな費用はありませんし、そもそも呼ぶ貴族たちもいません」


 ”花麗国”の貴族がほとんどが、殺されるか亡命しているかだった。

 戻ってきた貴族たちの中には、自分たちが王を支えなければ、どうやって政をするのかと主張し、権利と財産を返すように要求したものもいたが、マクシミリアンは「それは”花麗国”の民の皆と共にする」と跳ねつけた。

 ベルトカーン国王が、どれだけ心あるものを抹殺しようとも、有望な人間は新たに出てくるものである。マクシミリアンはそういった者たちを登用しはじめていた。貴族の中でも、有能なものは”平民同様”に取りたてた。

 だがまだ、舞踏会を開くような環境ではない。


「踊って下さってありがとうございました。

あなたと踊れて良かった」


「こちらこそ光栄でした……陛下」


 二人っきりなので、改まった方がいいだろうとエマは思ったのだ。いくら公平なエマだって、無暗に敬意を損ねたりはしない。その心遣いが、マクシミリアンの気持ちを冷たく撫でた。


「誰とも踊らないエマ・ジレが、どうして私とだけ踊ったのですか?

私が国王だから特別扱いしたのですか?」


「――いいえ!」


 いつもと違う固い声に、エマは驚いた。怒らせてしまった。でも、理由が分からない。


「あの、ご不快にさせてしまったら申し訳ありません。

そんなつもりではないのです。

ただ……ただ……マクシミリアンさまと……」


「ただ?」


 エマの瞳が潤んだのを見て、マクシミリアンは慌て「すみません」と謝罪しかけた。

 しかし、ぐっとこらえて、エマに続きを促した。


「どうか、その先を聞かせて下さい。

私を特別扱いしてくれた、その気持ちを教えて下さい」


 それでもエマは言い出すことが出来ない様子だ。


「では、私から言わせて下さい。

私はあなたに特別扱いされてとても嬉しかった。

なぜならば、エマ……私はエマのことを愛しているからです」


 息を呑んだエマが逃げ出さないように、マクシミリアンは腕を掴んだ。


「初めて会った時から、ずっと愛していました。

私はエマが好きで、とても好きで、だから幸せにしてあげたかった。

本当はあなたをイルタリアに連れて帰ろうと思っていました……」


 「ですが」と苦しそうに呻いた。


「ですが、あなたはこの”花麗国”に必要な人だ……あなたの優しさ、何度裏切られても人を信じ続ける強さ。誰に対しても公平であること。

その全てが、この国のこれからに必要なのです。

あなたを”花麗国”から連れて行くわけにはいかない。

ならば、私が”花麗国”の人間になろうと思ったのです」


 自分が国王になった経緯と動機を、正直に告白した。隠しても後でヴァイオレットに盛大にばらされる。エマの前で隠し事も嘘もしない。全てを曝け出そう。


「えっ……!?」


「そうでなければ、こんな大変な仕事……受けませんよ。

私は神聖イルタリア帝国皇太子の第三皇子として生まれましたが、所詮は、それだけの人間です。

海軍で軍功をあげ、後は悠々自適の生活をするはずでした。

あなたに手伝って頂かなければ、とても王の責務を全う出来ません」


 ずっと戸惑いっぱなしのエマだったが、それにはすぐに反応した。


「そんなこと、ありませんわ。

マクシミリアンさまは立派な王さまになれる方です。私、知っています」

 

 その力強い信頼に、マクシミリアンは勇気を得た。


「では、あなたも素晴らしい王妃になることでしょう。私も、それを知っています。

私だけでなく、皆が、それを知っています。

知らないのはあなただけです。だから教えて差し上げましょう。

私が王として成した仕事の中で、この国の民に最も讃えられることがあるとしたら、それはあなたを王妃にしたことになるでしょう。

――そして私個人の人生で、最も喜ばしいことでもあります」


 エマは自分が彼に大きな決断をさせてしまったことを知った。

 けれどもマクシミリアンが王さまだったら、きっと良い国になるだろうな、という確信もあった。マクシミリアンこそ、優しくて強い人だ。

 王さまだろうが、海軍艦長だろうが、それは変わらなかった。

 マクシミリアンはマクシミリアンなのだ。そのマクシミリアンとずっと一緒にいたい。

 その願いに素直になりたい。


 エマに向かって、マクシミリアンが跪いた。


「陛下!? いけません」


「いいえ、これが作法なので。

どうか私と結婚して下さい」


「マクシミリアンさま……!」


 エマはやっぱり泣いてしまった。


「あなたを泣かせるつもりはないのです」


「そんなの、無理です。

だって、私もずっとマクシミリアンさまのことをお慕い申し上げていました」


 人は嬉しくても泣くものです――。

 そう言って、エマは泣いた。


「エマ……結婚して欲しい」


「――はい……マクシミリアンさま」


 マクシミリアンは嬉しさのあまり、エマをすぐに王城に連れて帰ろうとして、拒否される。


「子どもたちに黙ってはいけません」


 あの子は夜中に起きてぐずるから側にいてあげないといけないとか、あの子は今日、風邪気味だったから熱が上がらないか心配だとか、とにかく、いろんな理由が出てきた。

 がっかりしながらも、さすがに人さらいのような真似は出来ないと、マクシミリアンは単身で城に戻った。


***


 エマの準備が整い、マクシミリアンの我慢の限界が来た。

 白い花びらが舞っていた。雪がちらつく孤児院に、金色の馬車が停まった。

 神聖イルタリア帝国と”花麗国”を合わせて、新しく作られた紋章が眩しい国王の馬車だった。

 そこから白い軍服を着た青年が降りた。琥珀色の瞳は、白の中で、金色にも見える。

 窓から子どもたちの顔が覗く。

 

 まるで道化のようだ。

 マクシミリアンは国王の正装である純白の衣装にそう思った。

 エマが玄関から出て来た。


「陛下。こんな寒い中、ようこそいらっしゃいました」


 優雅に礼をした。

 この期に及んで、国王の視察か何かだと勘違いしていそうだ。


「あなたを迎えに来たのです」


「はい……」


 頬を染めた少女に……もうすっかり女らしくなったエマに、マクシミリアンは作法に則って、手を差し出した。


「また泣くの?」


「だって……」


「みんなと別れるのが悲しい?」


 激しさを増した雪が、マクシミリアンの頭に、肩に、降り積もった。

 睫毛にも、跪いた地面にも。寒さと、「やっぱり行けません」と言われるのかという恐怖に手が震えた。

 その手に、エマの手が重なった。


「マクシミリアンさまが迎えに来て下さって、嬉しいからです」


 エマは突然、温かいものに包まれた。マクシミリアンが彼女を抱きしめたのだ。苦しいほどの力だ。でも、怖くはなかった。もっと強く抱きしめて欲しいとすら思った。


 もう何度も事情を説明し、お別れの挨拶をしたのに、エマは一人一人に、もう一度、丁寧にそれをした。残る大人たちに、くれぐれも子どもたちのことをと頼んだ。

 それはかなり長い時間がかかった。

 途中から、マクシミリアンは護衛に促され、馬車の中に入っていた。「風邪をお召しになられたら困りますので」

 

 ようやく馬車に乗っても、エマを慕う子どもたちは、雪の中、後を追い掛けてきた。


「元気でね! 温かくして寝るのよ!」


 エマも馬車の窓から身を乗り出して手を振り、子どもたちに声を掛け続けた。

 一人の子どもが転んだ。

 「ああ」とエマは嘆いたが、馬車は止まらなかった。それを境に、子どもたちは馬車を追うのを諦めた。

 ようやく馬車に身を治めたエマが、顔を覆って泣く。


「エマ、ごめんね」


 今度こそ、悲しくて泣いているのだろう。

 マクシミリアンは自分が極悪人になって気分だ。

 エマはぶんぶんと首を振った。


「こんなに泣いてばかりで恥ずかしいです」


「あなたはきっとこれからも泣くでしょう。

嬉し涙だけではなく、悲しいことも、悔しいことも、いろいろな涙を流すでしょう。

でも、私はあなたを手放すつもりはもうないのです。そんなこと、出来るはずがない」


 マクシミリアンはエマを自分の膝の上に乗せた。


「マクシミリアンさま……!」


「決して後悔はさせません。エマの流す涙が、嬉し涙の方が多くなるように、がんばりますから」


「はい」


 ようやく、エマの顔に、笑顔が戻った。


「それから、これはお願いなのですが、聞いてくれませんか?」


「なんでしょう?」


「エマはこれから国の妃、国の母になる。

でも……」


 言い澱むマクシミリアンに、エマが首を傾げる。


「あの……」


「マクシミリアンさま? どうぞおっしゃって下さい。

私たち……夫婦になるのですから……」


 恥ずかしそうに、しかし、覚悟を持った言い方に、マクシミリアンの心が震えた。


「あなたは誰にでも優しくて平等な方ですが、せめて二人っきりの時だけは、私だけのエマになって下さい」


「まぁ」


「駄目ですか? 私はあなたに特別扱いされたい。

王さまだからって、こんな特権を振りかざすような男は嫌いですか?」


 エマの瞳が揺れ、囁くような小さな声がした。


「私もマクシミリアンさまを独り占めしたい……」


「え? もう一度言って下さい。お願いします」


「私も! 二人っきりの時は、私だけのマクシミリアンさまがいい!!」


 大きな声だった。


「ええ! 約束しましょう」


 マクシミリアンも歓喜の声を上げ、額と額をくっつけた。


「あなたは私のエマだ」


「はい。私のマクシミリアンさま」


 二人っきりの時以外は、エマは”花麗国”民全てのエマとなった。

 エマは子どもたちを皆、自分の子どもと呼び、遇した。

 結婚して自分の子どもを持つことになっても、エマの意識は変わらなかった。

 誰にでも平等で優しい、生まれながらの王妃さまと讃えられた少女は、最後までそれを貫き通した。



***



「ねぇ、フィッツジョアン、あなたのお父さまは私を迎えにくるかしらね?」


 ヴァイオレットは息子を抱いて、毎日、王城の窓から海の方向を見ていた。


「もしも私を忘れて他の女と結婚していたら、即刻、殺してやる。

その時は、海軍を貸してくれる?」


 マクシミリアンは自分の娘を抱きながら、冷たい目になった。彼の娘は、妻の姉の名をとって、サビーナと名付けられた。彼女が次の”花麗国”の王座に座る。もっとも、”花麗国”の王政も大分変った。娘の時代になれば、もっと変っているだろう。


「無理です。”花麗国”は変わったんですよ。もう王一人の都合で軍は動かせません。

議会の承認が必要です」


「じゃあ、神聖イルタリア帝国に借りる」


「止めて下さい」


「だってもう三年も経つのよ! 開戦よ! 開戦!」


 ヴァイオレットは息子を高く掲げた。意味も分からず幼子は喜びの声を上げる。


「大体、あなたが”花麗国”が落ち着くまでは帰らないって言ったんじゃないですか!」


「そう言わないと、いけないかなって思っただけで、本気じゃなかったのよ!

あの人のウケが良さそうな言い方だなって。実際、良すぎたのよ!

あなたもエマもあの人も! どうして真面目な人間って、こうも扱い難いのよ!」


「あなたこそどうして、いつもいつも……!

はぁ、もういいです。

――いつか言おうと思っていたんですがね、そちら側は反対の窓ですよ」


「なに、それ!

もっと早く教えてよ! あなた、もしかして性格悪い?」


「おかげさまで」


「どういう意味よ」


「そういう意味ですよ」


 睨みあう王太后と王の間に一触即発の空気が流れたが、サビーナとフィッツジョアンの泣き声で、休戦が結ばれた。

 そして、多くの人間のあずかり知らぬ所で、第二次ヴァイオレット戦争も回避される。

 ヴァイオレットの恋人が、彼女と息子を迎えに来たからだ。ヴァイオレットもようやく、家に帰れることになった。


「エマ、世話になったわね。ありがとう」


 この場合、本気で感謝を述べるのが、ヴァイオレットの外面の良さの神髄であった。


「こちらこそ。お元気で」


 エマは心から別れを惜しんだ。これまた彼女の心映えの良さの真骨頂だった。


 相対する二人は、固く抱擁を交わした。


 ヴァイオレットとフィッツジョアンを乗せたエンブレア海軍の艦隊の白い帆が、水平線の向こうに消える。

 マクシミリアンの胸には「もう二度と戻って来るなよー!」といういつかの誰かの叫びが去来した。

 が、海を隔てたと言っても、すぐそこの隣国同士の国のことである。

 ヴァイオレットは、割と頻繁に遊びに来た。


「私が旅行に行くと言うと、あちらのお義母さまが喜ぶのよ」


「……でしょうね!」

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