第5話 食われるって、そんな理不尽な……
こんにちは、町屋太郎です。
俺は今、赤い鎧を着た人にガン詰めされています。
「一人で肉を焼いて食べていたのですの!? ここは危険度が最高の森ですわよ!? ふざけているのですか!?」
「……人に何か尋ねるときは顔を見せたらどうですか。スゴイ・シツレイ」
「アッハイ」
昔、読んだアメコミの台詞を引用してみた。
というか、この人ノリ良いな。
「失礼を致しましたわ。妾はアエーシュマ・アンラ・マンユと言いますわ。以後、お見知りおきを」
そう言って、その人は頭につけてた鎧を外す。
俺の思考は止まる。
――めっちゃ美人だ。
「あら、今度はそちらが名乗っていただけなくて?」
「……すみません。めっちゃ美人で見とれてました」
「……っ!!」
俺の首筋に剣が当てられる。
「お前っ! 人を愚弄する気ですの!!」
「……昔から、思ったことをすぐに言っちゃう癖があって。気に障ったなら謝ります。でも、めっちゃ美人じゃ無いですか!! 何であんな黒い鎧を着た人たちと戦ってたんですか!」
スキルが発動しないから、俺は「死なない」と判断し答える。
でも、なんかめっちゃ顔が赤くなってる。
……怒らせちゃったかな?
「――っ!! 質問に質問で返さないでいただけまして!?」
「町屋太郎です。呼びにくかったら、タロウマチヤでも良いです」
「……急に冷静にならないでいただけまして? こちらが驚いてしまいますわ」
感情の起伏が激しいお姉さんだなぁ……。
「それで、タロウ・マチヤは何でここにいるんですの? ここは危険なところだと知っていらっしゃいますわよね?」
「知りませんっ!!」
お姉さんがずっこける。
無茶言うな。
アホ女神にいきなり転移させられて、獣にモグモグされて、反撃して、肉を食ってたら戦っている音が聞こえてきた。
これでどうやって、ここの情報を知れって言うんだ。
と言うか、バカ女神にむかついてきた。
絶対、一発殴る。
<暴力はんたーい!!>
脳内に聞こえてきた声を意図的に無視する。
「……何でそんな人物がこんなところにいらっしゃって?」
さて、どう説明したら良いのやら……。
「死にそうな目に遭って、その後ここに捨てられました」
うん、要約するとそうなるよな。
何一つ間違ったことは言っていないはずだ。
「……全く意味が分かりませんわ」
「そうですか」
「そうですわよっ!! あなた、もう少し自分の事を深刻に考えたらいかがでして?」
「考え過ぎるとハゲます」
「……もういっそ、ハゲてくださいまし。妾は、疲れました」
「お疲れ様です」
「あなたのせいですわよ」
睨まれた。
でも、美人だと絵になるな。
そのとき、お姉さんのお腹が鳴った。
「肉で良ければありますけど? 結構たくさん」
「……武人は施しは受けませんわ」
「じゃあ、捨てるか」
俺の腕が捕まれる。
結構力が強い。
剣道部の田中よりは弱いけど。
「……捨てるのはもったいないですわ。処分を手伝って差し上げても宜しくてよ?」
「無理はしなくていいですよ。そのうち堆肥になって植物を育てる栄養になりますから」
「……っ」
なんか、最近残念な美人にばっかり会っている気がするなぁ……。
<残念とは何ですか! 残念とは!!>
残念な女第1号がなんか言っているけど、無視しよう!
「……お肉を分けていただいても宜しくて?」
「分かりました。こっちです」
俺は苦笑して、その女の人を案内する。
そして、俺の食べ残しの肉を貪っていたドラゴンに俺は食われて死んだ。




