第4話 味変無しって、そんな理不尽な……
こんにちは、町屋太郎です。
俺は今、一人焼肉パーティーをしています。
「……鹿みたいな味と熊みたいな脂。何というか、高級な牛肉って感じだなぁ」
なら、高級な牛肉を食べれば良いのではないかというツッコミはしないでほしい。
だって仕方ないだろ。
これしか食べるものが無いんだから……。
「……旨いけど、飽きてきた」
調味料は無く、ただ焼いただけの肉。
せめて塩こしょう程度でいいのでスキルで出せれば良いのに、絶妙に使えないのが悲しい。
欲を言えばクレイジーソルト。
アレはチョコレートとアイスクリーム以外にはだいたい合うから便利だ。
「はぁ……。野菜食べたい……。出来ればジュースも……」
そんなことを考えていた俺の耳に、叫び声が聞こえてくる。
「……なんだ? 人の声?」
俺は焼きすぎて、ほぼ炭になった肉を口に放り込む。
そのまま30回よく噛んでから飲み込んだ。
結構苦いけど、味変になってちょうど良い。
「肉も飽きてきたから、ちょっと行ってみるか。どうせ死んでも生き返るし」
俺は立ち上がり、声の聞こえた方に向けて歩き出した。
声の聞こえた方に近づくにつれ、金属をぶつけ合わせる甲高い音が聞こえてくる。
剣道部の田中とふざけて模造刀で遊んだときに近い音。
ちなみに巾木元で折れちゃって、剣道部の顧問にめっちゃ怒られたのは良い思い出だ。
「わーお、本当に戦ってるし。あ、黒い鎧着てる方が倒れた」
1人の赤い鎧を着て、赤いファーの着いた陣羽織? 洋風の鎧だから、サーコートだっけ? を着た方が黒い甲冑を着た方を一人、また一人と倒していく。
見ると5~6人くらいは倒れているようだ。
あ、また一人倒した。
「貴様ぁ!! 無駄な抵抗はよせ!! ここで我らを打ち倒したとしても、必ず第二・第三の我々に次ぐモノが現れる!!」
「お断りいたしますわ。妾は妾の生きる道を妾自身で決めますので」
すっげー。
漫画以外で「妾」って言っている人、初めて見たわ。
にしても、あの赤い鎧の人は強いなぁ。
剣道部の田中と同じくらいか。
「やむを得ぬか。貴様をここで捕らえる事とする!! 総員!! スキルの発動を許可するっ!!」
「総員とはいっても、後3人しかいらっしゃいませんこと。いささか寂しいものですわね」
「スキル発動<剣術師の心>」
「スキル発動<肉体強化>」
「スキル発動<剣聖招来>」
「あら、随分とせっかちですのね。そういう男は女から嫌われますわよ」
すっげー。
スキルって本来はああいう感じの格好良い名前なんだ。
俺は自分のスキル一覧を見てみる。
=========<スキルウィンドウ>=========
1.死者蘇生
死んだ時点・地点で蘇生する
2.死亡回数表示
「今まで何回死んだか」を表示する
3.危機察知
「自分が死ぬ直前」に「自分が死ぬ」事が分かる
4.死因記憶
「自分がどうやって死んだか」を表示する
5.指弾強化
右手の人差し指でモノを弾くときだけ、パワーがもの凄くアップする
6.骨密度強化
骨が強くなって、骨折しにくくなる
7.包丁研磨
包丁の切れ味を極限まで研ぎ上げることができる
8.三枚おろし
魚を完璧に三枚おろしにできる
9.盛り付け
料理の盛り付けを完璧に出来る(味はそのままである)
10.料理人(SR)
料理に関連する技能を完全にマスターする
=============================
うん、しょうもない。
「「「参るっ!!」」」
「せっかちな男は嫌いですわ。スキル発動<世界を騙す者>。あなたの隣にいる人物が、あなたの狙っている方ですわよ」
赤い鎧の人がスキルを発動すると、黒い鎧の人たちが勝手に争いを始めた。
宣言からすると、「敵」を勘違いさせるような感じかな?
「スキル発動<頂に立ちし者>」
赤い鎧の人がスキル発動の宣言をすると、その姿が消えた。
次の瞬間には黒い鎧の人たちが全員地面に倒れ伏している。
剣の腹でひっぱたいて気絶をさせたようだ。
剣道部の田中よりも、ちょっと強いかもしれない。
「よし、飽きたから帰るか! 食事の続きだ!!」
俺はもと来た道を引き返そうとした。
その瞬間に<スキル:危機察知>が発動したので、咄嗟に体を左に倒す。
俺がいた場所のちょっと先に、黒い鎧の人たちが使ってた剣がぶっ刺さっている。
あっぶねー。避けなかったら心臓を貫かれて死んでたわ。
生き返るけど。
「何者だお前!! そこで何をしている!!」




