第18話 久しぶりに死ぬって、そんな理不尽な……
「はい、今回も薬草採取が規定量に達していることを確認いたしました。報酬をお渡ししますので、ライセンスカードをかざしてください」
こんにちは、町屋太郎です。
突然ですが、ライセンスカードはタッチ決済に対応しているらしいです。
めっちゃ便利。
「ところでタロウさん。昇級試験を受ける気はございますか?」
「昇級試験?」
「はい、タロウさんはこちらで冒険者登録をされてから3ヶ月経ちました。後は戦闘を行えることが証明できれば『大』に昇級できます」
「草集めのタロウ。もう、お前もそんな時期か」
「……デュナさん。その『草集めのタロウ』って辞めてくださいよ」
受付のおねーさんが苦笑する。
「タロウ様は薬草採取に関してはプロ級です。おそらく、このギルドで勝てるものはいないでしょう」
「あんまり褒めないでください。照れる」
「その反面、戦闘面はシュナさんが行っているようです。たまにシュナさんがうち漏らしたものは倒しているようですが、それだけでは昇級認定をすることは困難です。なので試験官と戦って、戦えるだけの力があると示してください。そうすれば昇級出来ます」
シュマの訓練中、暇だから薬草を集めてただけ。
それだけなのに、なんか知らんけど変な通り名をつけられてしまった。
――ちょっとやだ。
「タロウ様。昇級すれば、薬草採取で得られる報酬も増えますよ」
「シュマまでそんなことを言う。俺だって冒険者になったんだから、狩猟依頼だって受けてみたいって」
「無理だな」
「無理ですね」
「タロウ様。人には向き不向きがありますわよ」
俺は半泣きになりながらギルドを飛び出す。
そしてたまたま走ってきた馬車に轢かれて死んだ。
死ぬのは3ヶ月ぶりだな。
「タロウ様。いちいち死ぬの面倒なので辞めてくださいね」
「流石に泣くぞ?」
ギルドから出てきて、俺を助け起こすシュマ。
馬車の行者にお金を渡している。
迷惑料かな?
シュマには俺が弱いフリをすることを伝えてある。
この気の良いギルドの連中が、あの馬鹿天使共に殺されるのは見たくないから……。
「ちなみに今のタロウ様って、どれだけスキルがあるんですか?」
「そうだな。久しぶりに見てみるか」
=========<スキルウィンドウ>=========
1.死者蘇生
死んだ時点・地点で蘇生する
2.死亡回数表示
「今まで何回死んだか」を表示する
3.危機察知
「自分が死ぬ直前」に「自分が死ぬ」事が分かる
4.死因記憶
「自分がどうやって死んだか」が記録される
5.指弾強化
右手の人差し指でモノを弾くときだけ、パワーがもの凄くアップする
6.骨密度強化
骨が強くなって、骨折しにくくなる
7.包丁研磨
包丁の切れ味を極限まで研ぎ上げることができる
8.三枚おろし
魚を完璧に三枚おろしにできる
9.盛り付け
料理の盛り付けを完璧に出来る(味はそのままである)
10.料理人(SR)
料理に関連する技能を完全にマスターする
11.石拾い
良い感じの石を見つけられる
12.枝拾い
良い感じの枝を見つけられる
13.落ち穂拾い
良い感じの草を見つけられる
14.キノコ判定
キノコが食べられるか食べられないかだけが分かる(味はわからない)
15.パン調理
良い感じにパンを焼ける
16.パン切断
良い感じにパンを切れる
17.パン保存
良い感じにパンを保存できる
18.パンの気持ち
パンの気持ちが分かる
19.パン入手
この世界に存在するパンを相応の対価を支払い入手できる(所持金は減る)
20.パンマスター(SR)
この世界に存在するパンの知識すべてを手に入れる
21.くしゃみ
任意のタイミングでくしゃみをすることができる(咳も可)
22.成長強化(爪)
爪の成長を1日につき1mmだけ早くできる(自他は問わない)
23.柏手:NEW!!
手を叩くと大きい音が鳴る
=============================
うーん、相変わらずしょーもない。
とりあえず聞きたい、爪を伸ばす速度がめっちゃ速くなったところでどうしろと?
キノコ判定は、万が一の時にこの先生きのこれるかもしれない。
「数だけなら、この世界にタロウ様が負けることは無いと思いますけど」
「数だけならな。でも、しょーもない」
「……組み合わせれば強いですけどね。あのドラゴンを倒した時みたいに」
あのときは、確か<指弾強化>と<石拾い>と<骨密度強化>だったかな?
骨折すると嫌だから<骨密度強化>で骨を強くしたら、無駄に強くなっちゃったんだよな……。
「まぁ、とりあえず昇級試験って奴を受けてみるか。落ちたらそれでいいし」
「タロウ様が落ちることはあり得ません」
シュマにそう言われて、俺はギルドに戻り昇級試験の申し込みをした。
そして、俺は何度も死ぬことになった。




