第15話 話しにくいことを話さないといけないって、理不尽な……
こんにちは、町屋太郎です。
突然ですが、シュマが左腕に抱きついて離してくれません。
「……シュマ、そろそろ離れて? 折れるから」
「嫌です」
「即答!?」
「はい」
「妙に素直!?」
シュマが泊まっている部屋は元々二人用。
そこに今、一緒に住んでいる。
「だって、タロウ様とお別れすることになるところだったんですもん!!」
「……ごめん」
なんとなく、気まずい空気が流れる。
おどけてみては居たが、あまり効果はなさそうだ。
「シュマ。シュマってさ、王族だったんだよな」
「はい」
「で、神様と交流をしようとした。ここまでは良いよな?」
「そうですね……」
俺は少し考える。
俺、普通に神と会話してるよな。
アホだけど。
<アホとは何ですか! アホとは!!>
アホの事はいったん置いておいて……。
<置かないでよっ!! むしろ持ち運んでくださいよっ!!>
……投げ捨てたくなってきた。
「シュマ、俺がもし神様と話できるとしたらどう思う?」
「……さすタロ!! ですね」
「テンションどうした!?」
「出来るわけないので、ふざけてみました」
「……」
本当なんだけどなぁ……。
なぁ、アホ女神? シュマにお前の声聞かせる事って出来んの?
<出来なくは無いですが、神の声を聞いたって言ったら、『異端審問』されて処される可能性が高いですよ? 特にマンユ王国が滅亡後は、その傾向になってきています。なので、おすすめはしません。太郎さんもあまり言いふらさない方が良いですよ>
……つまり、シュマのお父さんのせいで宗教観が変質したって事か?
<残念ですがそうなりますね。個人的には人間と関わるの好きなんですけど、今は控えてます>
ということは、天使どもが俺を殺しに来る理由がよく分からなくなってきたぞ?
<どういうことですか?>
シュマ父は神様と交流しようとした。
当のアホ女神は、人間との交流肯定派。
なのに天使はシュマの国を滅ぼしにきた。
――ここ、おかしくねえか?
<……私が天使に舐められていると言いたいんですか>
そうだね。
<ふええ……>
「タロウ様? どうされたのですか?」
「神様と話してた」
「またまた~」
シュマが俺のほっぺたをツンツンとしてくる。
可愛いんだけど、強い。
穴があくって……。
「いや、マジマジ」
「……え、本当に?」
「俺がお前に嘘ついたことはあるか?」
「…………無いですね」
「嘘をつかれたことはあるけどな」
「うっ……」
俺はスキルウィンドウを開き、シュマに見せる。
「俺のスキルってさ、しょぼいだろ?」
「……はい」
俺はそこで言葉を切る。
「シュマ。俺が異世界の人間だって言ったら信じる?」
「異世界? どういうことですか?」
「俺はさ、『日本』っていう国で学生をやってたんだ。自分で言うのもなんだけど、割と不真面目だったけどな」
そして俺は自分の過去をシュマに語ることにした……。




