第13話 理不尽でも、やるしかねぇんだ!!
……こんにちは、町屋太郎です。
…………俺は今、自分の無力さを噛みしめています。
「妾はアインシュマ・アンラ・マンユ。お前は我がマンユ王国を滅ぼした天使であろう。我が国の誇りにかけて、お前を斃す」
虚勢を張って相手を煽ったにもかかわらず、最愛の人に守られることになった自分のふがいなさ。
おそらくシュマは負けて死んでしまうという予感。
何も出来ないで無駄に死んで、生き返って、また死ぬ。
それを繰り返すだけの自分の無力さ。
俺は、こんな自分が――嫌いだ。
「女、ちょっとは出来るみたいだが、正直お前はオレサマの目的にはかんけーねーんだよ!! あきらめろやっ!!」
「妾が諦めたら、父の無念を晴らすことが出来ず、タロウ様も失う。そんなものは生きていても死んでいても同じですわ。ならば、少しでも後悔をしない道を選ぶというだけですわ!!」
シュマが高速で飛び回る。
そのせいか、俺を蒸発させたレーザーはシュマを捕らえ切れていない。
「畜生、はええな。虫かよ」
「生憎、それだけが取り柄でして!!」
シュマの剣戟が天使の髪を僅かに斬り払う。
獰猛な笑みを天使は浮かべた。
「痺れろやっ!!」
「……っ!!」
雷を纏った拳がシュマを襲う。
それを咄嗟にシュマは自らの剣を投げつけて回避する。
即死は防いだが、武器は失われる。
これ以上は――やばい。
「あー。面倒くせぇ。雑魚がちょろちょろ逃げ回りやがって……」
だが、シュマにも体力という限界はある。
そのときが来たら……。
(嫌だ)
俺の脳裏にその言葉が浮かぶ。
(嫌だ)
失いたくない。
(嫌だ)
奪われたくない。
(嫌だ)
そして、何より無力な自分が――嫌でたまらない。
「――もういいや、テメーの国をぶっ潰したぶっとい雷でも食らえや」
「……っ!! ――タロウ様、ありがとうございました」
シュマが悲しげな笑みを浮かべる。
天使の上空に黒い雲が浮かび、電気が激しくスパークする。
文字通り、必殺の一撃。
「ふっ、ざけんなぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!」
俺は恐怖を無理矢理に怒りで塗りつぶす。
そして、叫ぶ。
「スキル発動<くしゃみ>。対象はあのクソ天使ぃいいいいい!!!!!!!!!」
「んなもんが、何の役に――ふぇっくしょい!!」
天使が思いっきりくしゃみをする。
そして、その手元が狂った。
「あっ! やっべっ……」
天使は自らの雷に撃たれた。
「……教えておいてやるよクソ天使。俺は『今あるもの』で戦ってんだ。これまでも。そしてこれからも。一生それを繰り返していくだけだ」
「……タロウ様ぁ!!」
シュマに抱きしめられる。
力強よっ!!
あ、やばい。死ぬ――。
「……タロウ・マチヤぁ。危うくオレサマが死ぬところだったぞ」
「……まだ生きてんのかよ。このクソ天使」
アフロヘヤーになったクソ天使。
だが、先までの剣呑な感覚は襲ってこない。
「決めたぜタロウ・マチヤ。お前はオレサマが必ず殺す。だから、それまで死ぬんじゃねーぞ」
「いいや、俺は死ぬね。――そしていつかお前を倒せるだけの力を手に入れてやる」
「はっ!! 抜かせっ!!」
弱々しい雷を放ち、天使は姿を消した。




