第12話 死ぬまで殺すって、そんな理不尽な……
こんにちは、町屋太郎です。
俺は今、森の中で殺意MAXの天使と対峙しています。
なんでこうなった!?
「あ、テメーがタロウ・マチヤだな?」
「誰だよ。人に名前を尋ねるときはまず自分が名乗るべきだって、親か保護者か先生に習わなかったか?」
「今から死ぬ奴に名乗る意味はねーだろ」
天使が謎レーザーを俺に向けて放つ。
それだけで、俺の体は一瞬で蒸発した。
「あー、仕事完了っと。そこの女、お前は特に用がないから帰っていいぞ。刃向かうなら殺すが」
「人の妻に手を出すのはやめてもらおうか」
「……テメーなんで生きてんだよ。存在ひとかけら残さず消滅させたはずだぞ」
「秘密を抱えた人間って魅力的だろ?」
「は、うっぜ」
さて、どうする?
コイツ、剣道部の田中より遙かに強いぞ。
普通に戦ったら、1000回やっても勝てない。
1000000000000000000000000000000000000000回くらいなら1回くらいはいけるかもしれないけど……。
<流石にそんなには蘇生できませんよ? あと、スキルとして、『パン切断』を獲得しました>
今じゃ無い。
と言うか、黙ってろアホ女神。
「まぁいいや。死ぬまで殺せば死ぬだろ」
そして天使は空中にいくつかの魔方陣を描いた。
「……ちょっとやばいなこれは」
俺のつぶやきは閃光にかき消される。
<スキル:『パン保存』を獲得しました>
<スキル:『パンの気持ち』を獲得しました>
<スキル:『パン入手』を獲得しました>
<SRスキル:『パンマスター』を獲得しました>
「パンばっかじゃねーかよ!!」
「パンだかパンツだか知らねーが死ねよ。オレサマが天界に帰れねーだろ」
「お前の都合なんか知るか! 死ぬの普通に痛いし熱いんだよ!! お前もぶっ殺してやる!! スキル発動<料理人>」
<天使は食品では無いため、『料理人』は使用できません。というか天使をたべないでくださーい>
肝心なところで役にたたねー!!
<スキル:『くしゃみ』を獲得しました>
「オレサマさ、残業代でねーんだわ。早いとこ死んでくれないかな?」
「随分と天使の労働環境はブラックなんだな。ホワイトなのは見た目だけか」
「は、ちげぇねえな。全員管理職だからな」
「ドブラックじゃねーか。転職を勧めるぞ」
「言ってろ」
もう、いやだ。
絶対勝てない相手に挑むの心折れるわ……。
もう、デスループは嫌だぞ……。
「タロウ様。お下がりください」
俺の肩に手を置き、シュマがそう呟く。
一瞬、「俺が死ぬのを黙って見ていたのか?」と言いそうになったが、寸前でその言葉を飲み込む。
――シュマの手は震えていた。
「妾はアインシュマ・アンラ・マンユ。お前は我がマンユ王国を滅ぼした天使であろう。我が国の誇りにかけて、お前を斃す」




