第11話 早く帰れって、そんな理不尽な……
こんにちは町屋太郎です。
俺は今、冒険者登録をする為にギルドを訪れています。
「では、こちらがタロウ・マチヤ様の登録証になります。ランクの説明は必要ですか?」
「シュマに聞けば分かるとは思うけど、お願いしても良いかな?」
無駄にいい顔をして聞いてみる。
あの、シュマさん?
睨まないでね?
受付のおねーさんが引きつった笑顔を浮かべてるからさ。
「上から順に、熾・智・座・主・力・能・権・大・天となっております」
「なんか聞いたことある!?」
「……冒険者でしたら常識ですよ?」
受付のおねーさんが「コイツ何言ってんだ」という顔をする。
違うんです。
アメリカに住んでたことがある奴から聞いたことがあるんです。
「……話を戻しますね。タロウ様は登録したてですので、『天』クラスになります」
「天上天下唯我独尊」
「はっ?」
「すみません。つい。続きをお願いします」
おねーさんの表情が「やべー奴が来たわ。はよ帰れ」というものに変わる。
ごめんなさい。
シュマだったらのってくれるので、ボケ倒しました。
「早く帰って欲しいので簡単に説明しますね」
「ごめんなさい」
「『天』クラスの人は依頼を10回達成すると、『大』クラスに上がることが出来ます。それ以降はギルドの定める方法に従った昇級試験を受けていただきます」
あ、ついに無視され始めた。
泣きそう……。
「これで説明は以上となります。何かご質問は?」
「アエーシュマ・アンラ・マンユとパーティを組みたいと思っているんですが、何か制限はありますか」
「特にございません」
「なら、大丈夫です」
受付のおねーさんが露骨にホッとした顔をしてる。
本気で泣くよ?
「何だよ、狂犬に寄生してランク上げようってのか?」
「あの、デュナさん。面倒くさいタロウさんが帰ってくれそうなタイミングなので、口を挟まないでください」
筋骨隆々としたおっさんに話しかけられる。
コイツ、強い。
剣道部の田中が、ギリで勝てる位か。
「いや、寄生でランク上げたところで死ぬ確率上がるだけだろ。一応、先輩冒険者としての忠告って奴だ」
「忠告ありがとうございます。でも、実は俺ちょっとだけ強いですよ」
「見りゃ分かる。何らかの武道を修めてるだろ。だが、現実と道場は違うからな」
剣道部の田中には、「剣道でなら町屋には楽勝。でも、実戦だったら多分勝てない。良くて相打ちだ」って言われたからな。
あー、日本刀欲しい。
「まぁ、せいぜい頑張れや」
そう言って、デュナと呼ばれた冒険者は去って行った。
「タロウ様の強さが分からないとは」
「シュマ、そのくらいにしておいてくれ。褒められると照れる」
「えへへ~」
受付のおねーさんがため息をつく。
「初心者には『薬草採集』をおすすめしています。危険度は低く、その割に報酬は高いので」
「では、それでお願いします」
「受注いたしました。早く帰ってください」
「泣きますよ?」
「勝手に泣いてください。シッシ!!」
「うわーん!!」
「嘘泣き辞めてください」
「あ、はい」
なんか、シュマにまであきれられている気がする。
ま、ええか。
「じゃあ、行こうかシュマ」
「はい、タロウ様」
俺はギルドに指定された森に向かった。
そして、俺は死んだ。




