第10話 ルールに従えって……。 そんな、理不尽なっ!!
こんにちは、町屋太郎です。
俺は今、シュマの泊まっている部屋に居ます。
なんか良い匂いがします。
「タロウ様。適当に座ってください。――もちろんベッドでも良いですよ」
「俺のことを大好きとか言ってる金髪爆乳美女に襲われそうなのでやめておくわ」
「……チっ!!」
ちょっと待ってください、皆さん!
いまこの美女、舌打ちしましたよ!!
なんか絵になってむかついてくる。
折角なので、口に指を突っ込んで左右に引っ張って「学級文庫」って言わせてやろうか。
……また、知らん風習で結婚とか離婚とかになったら面倒だから辞めとこ。
「……既成事実作ったろって思ったのに」
「あの、シュマさん? 口調が……」
「元とはいえ王族なので、キャラ作りですわ。意図的にああいう口調にするのは面倒でして。だから、旦那様とお話をするのは気楽に出来て良いんですわ」
ぎゃー!!
初体験が金髪の美人で爆乳とか!!
剣道部の田中にぶっ殺される。
陸上部の佐藤は冷やかしてきそうだ。
もう、二人に会えないけどなっ!!
「というか、今、シュマさ。『王族』って言った?」
「はい。言ってませんでしたっけ」
「聞いてる余裕がなかったかな?」
急にアホ女神に「人違いで殺しちゃった! メンゴメンゴ!!」って言われた。
その後で、異世界にGo!
よくわからん変な獣にモグモグされて、逆にモグモグしてたらシュマが黒い鎧の人たちと戦ってた。
よくわからん変なドラゴン倒したら「結婚!!」って言われた。
そして今に至る。
うーん、我ながら波瀾万丈。
なお、ここまで3時間くらいである。
ちなみに、「メンゴメンゴ!!」を含めて15回死んだよ!!
死にすぎて滅!!
「我が国は、神と交流を持とうとしたんです。それが神の怒りに触れて滅ぼされました」
「あー、良くあるやつね。俺の元の世界でもあったわ。くっそ高いタワー建てて、言葉をぐっちゃぐっちゃにされたって話」
「コミュニケーションをとれないようにされたってことですね」
「シュマ、頭良いなお前」
机を挟んで向かいに座っているシュマの頭を撫でる。
あ、ちょっと待ってくださいカメラさん。
一度カメラストップ。
シュマが人に見せられない顔してるわ。
……俺、何言ってんだろ。疲れてんのかな? 疲れてるわな。平均12分に1回死んでれば疲れるって。
「……えっと、話を続けますね。神と交流をすることで、その文化に触れ、我が国を豊かに出来るのでは無いかと父は考えたわけです」
「おっぱいは豊かだけどな」
「揉みますか?」
「今は辞めとく。で、続きは?」
シュマが席を立ち、サーコートを脱いで畳んでベッドに置いた。
鎧を外し、きちんと仕舞い、軽装になった上で椅子に座り直した。
「それが神の怒りに触れたようです。『世界の運行を妨げる者は許さぬ』と言って、極太の雷を落とされて王国は滅亡。残された民もちりぢりに。私もなんとか逃げ延びたと言う形です」
「じゃあ、あの黒い鎧の人たちは?」
「騎士団の方々ですわ。私を使って王国の再建を図ろうとしていたのでしょう。嫌なのでたたき伏せたところでタロウ様と会ったということですわ」
「じゃあ、シュマは王国に戻る気は無いの?」
シュマが顔を伏せる。
「……ありませんわ」
「嘘だな」
「……嘘ではありませんわ」
「いいや、嘘だ」
「スキル発動<偽証者>。私の言っていることは、嘘ではありませんわ」
「………他人に嘘を信じさせるスキルだったな。俺の頭はシュマの嘘を信じろと言っているが、心がそれを否定している。――何度だって言ってやる。この嘘つき女め」
俺はシュマの頭に手を置く。
そして優しく撫でた。
「……だって、神の決めたルールを破ったことで怒りに触れているのですわよ。そんな王族が許される訳がありませんわ」
「俺が許す。――それにシュマ。お前一個大事なことを忘れてるぞ」
「……なんですの?」
俺はひとつ息を吐き、大きく吸い込んで答える。
「本当なら15回は死んでるのに俺は生きている。ルールがなんだ! 決まりがなんだ! そんな面倒くさいもの、全部ぶっ壊しちまえばいい!!」
「……むちゃくちゃですのね」
「むちゃくちゃ上等!」
「……でも、タロウ様なら出来る気がしてきましたわ」
俺はシュマを抱きしめる。
「やってみせるさ。だから、そのときが来たら……」
覚悟を決めろ、町屋太郎。
男を見せろ。
「結婚しよう」




